霧笛(読み)ムテキ(英語表記)foghorn

翻訳|foghorn

デジタル大辞泉 「霧笛」の意味・読み・例文・類語

む‐てき【霧笛】

濃霧などで視界不良のときに、衝突事故を防ぐために船舶灯台などが鳴らす汽笛。きりぶえ。「霧笛信号」

きり‐ぶえ【霧笛】

むてき(霧笛)」に同じ。

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精選版 日本国語大辞典 「霧笛」の意味・読み・例文・類語

む‐てき【霧笛】

〘名〙 霧中信号一つ。霧による視界不良の際、航海者警告を与え海難を防止するため、船舶や灯台などが吹鳴する汽笛。明治一二年(一八七九)に青森県尻屋崎の灯台に初めて設置された。きりぶえ。
※逓信省告示第四百六十六号‐明治二三年(1890)「該霧笛は毎二分時間に於て低調一声高声一声を連吹す」

きり‐ぶえ【霧笛】

〘名〙 海上で濃霧の際、灯台や船がその位置を他の船に知らせて、衝突や座礁を防ぐために鳴らす合図の笛。また、その音。むてき。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧笛」の意味・わかりやすい解説

霧笛
むてき
foghorn

音波を用いた保安機器の一つで、沿岸航路や港湾の内外周辺で航行船舶の安全を確保するために、船舶や灯台あるいは霧信号所に用意されるものである。霧、雪その他視界不良で陸影や船影または灯火が見えないとき、牛皮製の「ふいご」式もしくは手動式、動力式のサイレンで、1マイル(約1.6キロメートル)以上の距離に達する音響を6秒以上発生できる装置を具備することが船舶設備規定に定められている。また灯台や霧信号所では、スチームサイレンsteam siren、エアサイレンair siren、短時間強力な音を出すダイヤホーンdia horn、周波数の高い音を出すダイヤフラムホーンdiaphragm hornなどが用いられている。小規模な装置で浮標などに用いられるものとしては、ベル、ホイッスルゴングなどがある。

[堀口孝男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霧笛」の意味・わかりやすい解説

霧笛
むてき
foghorn

霧信号。船舶が霧,もや,雪などで視界が悪いときに他船との衝突を回避するために鳴らす汽笛。「海上における人命の安全のための国際条約」International Convention for the Safety of Life at Sea(1948)で定めたもの。号鐘とともに,船の種類,航行・停泊の状況などによって,長音,短音,音の間隔などの組み合わせが定められている。日本は海上衝突予防法15条で規定した。灯台や霧信号所でも,視界不良時に船舶に陸の位置を知らせるため霧笛を鳴らしたが,舶用レーダ全地球測位システム GPSなど航海計器の普及により,国内の霧信号所は 2010年3月末に全廃された。

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デジタル大辞泉プラス 「霧笛」の解説

霧笛

米国の作家レイ・ブラッドベリの短編SF(1951)。原題《The Fog Horn》。1953年、ユージン・ルーリー監督で映画化(邦題『原子怪獣現わる』)。

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世界大百科事典(旧版)内の霧笛の言及

【汽笛】より

…しかし,音声による信号に比べてはるかに簡便明りょうであるので,船内外への信号連絡手段として汽笛を設備することが国際的,国内的に定められている。日本では1874年から霧中での信号には蒸気笛を使用することが定められ(このことから霧笛の名もある),現在では〈海上衝突予防法〉によって,船は,その長さに応じた基本周波数と音圧とをもち,短音と長音を発することができる装置(蒸気笛とは限らない)の設備が義務づけられている。つまり船が長いほど低音で音の大きい信号を吹鳴することになる。…

※「霧笛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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