霧多布(読み)きりたっぷ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「霧多布」の意味・わかりやすい解説

霧多布
きりたっぷ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の浜中町(はまなかちょう)の中心市街地、町役場所在地。係船に不便な北方の同町榊町(さかきまち)にかわり、1886年(明治19)ごろから本土と霧多布島との砂州(さす)状の接合部に碁盤目状の小市街地を形成。霧多布港はサケコンブウニなど沿岸沖合漁業の基地。1952年(昭和27)の十勝(とかち)沖地震、1960年のチリ地震の際の津波は市街地に被害を発生させ、接合部の砂州が切られ、現在は霧多布大橋が架けられている。1993年(平成5)の釧路(くしろ)沖地震、1994年の北海道東方沖地震でも被害があった。霧多布島の東端湯沸岬(とうふつみさき)(霧多布岬)となっていて展望がよい。市街地の西部一帯は3200ヘクタールに及ぶ霧多布湿原が広がり、琵琶瀬(びわせ)川が蛇行する。湿原の一部は国指定天然記念物の「霧多布泥炭形成植物群落」をなしている。霧多布湿原は1993年(平成5)、ラムサール条約登録湿地となった。一帯は厚岸霧多布昆布森(あっけしきりたっぷこんぶもり)国定公園域。

[古川史郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「霧多布」の意味・わかりやすい解説

霧多布
きりたっぷ

北海道東部,浜中町の中心集落。隆起海食台地の霧多布島と,浜中湾琵琶瀬湾にはさまれた砂州上にあり,碁盤目状の町並みが発達。コンブ漁業,サケ・マス流し網,イカ釣り,タコ漁などの沿岸・沖合漁業の基地。 1952年の十勝沖地震,60年のチリ地震に伴って発生した津波のため,北部が浸水し,流失家屋を生じたため,防潮堤および砂州の切断個所をつなぐ霧多布大橋が建設された。本土側に広がる霧多布湿原には,ワタスゲヤチヤナギツルコケモモなど約 30種類の泥炭地形成植物群落がみられ,天然記念物に指定,1993年にはラムサール条約に登録された。夏季にはヒオウギアヤメ,エゾカンゾウなど野生の草花原生花園を形成する。なお霧多布島に湯沸 (とうふつ) 岬の景勝地がある。

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世界大百科事典(旧版)内の霧多布の言及

【浜中[町]】より

…人口7866(1995)。太平洋に面し,町域は標高60m内外の丘陵地と霧多布(きりたつぷ)島,嶮暮帰(けんぼつき)島などの小島からなる。気候は寒冷で春から夏にかけて濃霧が多い。…

※「霧多布」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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