雑事(読み)ぞうじ

精選版 日本国語大辞典 「雑事」の意味・読み・例文・類語

ぞう‐じ ザフ‥【雑事】

〘名〙
① いろいろのこまごました事柄。ざつじ。
御堂関白記‐寛弘元年(1004)三月七日「着左丈座、定諸国申請条々雑事」
源氏(1001‐14頃)帚木「まのあたりならずとも、さるべからむさうしらはうけ給はらむ」
② 中世の荘園制のもとでの税の一つ。年貢以外に収める藁(わら)や野菜、油、塩などをいう。雑公事(ぞうくじ)
※東寺百合文書‐う・康和二年(1100)八月一六日・丹波国司請文案「兼又至所当雑事者、被御塔料諸郡之所役、偏以彼保住人等所勤仕也」
※高野本平家(13C前)四「国には国司にしたかひ、庄には領所につかはれ、公事(くじ)雑事(サウジ)にかりたてられて」
③ 食事の用意をすること。また、旅の道中食糧
吾妻鏡‐建久六年(1195)六月二九日「着尾張国萱津宿給。当国守護人野三刑部丞成綱進雑事
※吾妻鏡‐文治元年(1185)九月一〇日「御堂供養導師事、〈略〉下向之間、宿次雑事以下、今日、被催御家人
源平盛衰記(14C前)一七「衣裳絹布の類を送り遣はすのみに非、毎月に時料雑事(ザウじ)運入、かかりければ」
⑤ 飯の副菜。副菜にする野菜類。
宗長手記(1522‐27)下「中郷土佐、旅宿を訪。飯米・薪・雑事等取り具して、炉辺の閑談二夜」

ざつ‐じ【雑事】

〘名〙
① こまごまとした種々の事柄。いろいろの用事。ぞうじ。
続日本紀‐養老六年(722)七月己卯「以居処非一。法務不一レ。雑事荐臻。終違令条」 〔南斉書‐孔稚珪〕
② こまごまとしたいろいろの用事にかかる費用雑事銭(ぞうじせん)
※源平盛衰記(14C前)三三京上(きゃうのぼり)の雑事(サツシ)とて、鎌倉より宿々に五石五石糠藁に至るまで鏡の宿まで送り積みて侍りつる」

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デジタル大辞泉 「雑事」の意味・読み・例文・類語

ざつ‐じ【雑事】

本来の仕事以外のいろいろな用事。取るに足らない雑多な事柄。
[類語]用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用私用公用社用商用急用多用主用変事大事だいじ大事おおごと小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと事物事象物事現象出来事余事余所よそ他事他人事人事ひとごと諸事事件時事事柄事故異変大変急変用事珍事不祥事アクシデントハプニングセンセーション末梢的二次的二義的副次的瑣末さまつ枝葉枝葉末節細かい細細しい煩瑣はんさ瑣瑣ささ区区ちょっとした取るに足りないたわいない何でもない愚にもつかぬ益体も無いらちも無い高が知れる些些ささ些細ささいささやかわずか幾ばくたかがいささかほんの有るか無きかちょっと一縷いちる一抹些少さしょう末節無駄事微微つまらない無意味下らない問題外部分的派生的卑小眇眇びょうびょうよし無いトリビアル

ぞう‐じ〔ザフ‐〕【雑事】

雑多な事柄や用事。ざつじ。
「―ども仰せられつるついでに」〈浮舟
中世、年貢以外の種々の租税労役

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普及版 字通 「雑事」の読み・字形・画数・意味

【雑事】ざつじ

諸事。

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