雄性先熟(読み)ゆうせいせんじゅく(英語表記)protandry

精選版 日本国語大辞典 「雄性先熟」の意味・読み・例文・類語

ゆうせい‐せんじゅく【雄性先熟】

〘名〙 雌雄同体動物で、雄性生殖器官が雌性生殖器官より先に成熟すること。後に雌性生殖器官が成熟して完全な雌雄同体になる。→雌性先熟(しせいせんじゅく)

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デジタル大辞泉 「雄性先熟」の意味・読み・例文・類語

ゆうせい‐せんじゅく【雄性先熟】

雌雄同体の動物で、雄性生殖器官の精巣などが、卵巣などの発達に先立って成熟すること。のちに卵巣も発達して両方をもつ個体となる場合と、精巣が退化して卵巣が発達する場合とがある。種子植物では、個々の花において、雄しべまたは雄花が先に成熟し、のちに雌しべまたは雌花が成熟することを指す。→雌性先熟

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雄性先熟」の意味・わかりやすい解説

雄性先熟
ゆうせいせんじゅく
protandry

雌雄同体の動物において,雄性の生殖器官特に精巣が雌性の生殖器官,特に卵巣よりも早く成熟する現象。この場合,雄性の生殖器官がその本来の作用を終り退化してから雌性の生殖器官が発達するためにあたかも雌雄異体のもののようにみえるものと,雄性生殖器官が残り,一足遅れて雌性器官が発達し,真の雌雄同体を示すものとがある。前者の例としては吸口虫類の Myzostomumがある。後者は例が多く,二枚貝類のカキ,硬骨魚類のクロダイなどがある。また二枚貝類のフナクイムシなどでは1次的に現れた雄性生殖器官が退化し雌性生殖器官が現れ,これが退化してから2次的な雄性生殖器官が現れ,さらにその退化後また2次的な雌性生殖器官が出現するというように,雄性と雌性とが交互に出現することが知られている。植物の両性花のときには雄ずい先熟の語を用いる。

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百科事典マイペディア 「雄性先熟」の意味・わかりやすい解説

雄性先熟【ゆうせいせんじゅく】

雌雄同体生物で,その雄性生殖器官が先に成熟して放精を行い,あたかも雌雄異体の動物の雄のように行動すること。この後雄性生殖器官は退化し,代わって卵巣など雌性生殖器官が成熟して雌相を示す。カキ,フナクイムシ,フネガイ,クロダイなどの例が有名
→関連項目性転換

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世界大百科事典(旧版)内の雄性先熟の言及

【雌雄同体】より

…クロダイや二枚貝のカキは,一度雌ないし雄の機能をした後,雄ないし雌として機能する。雌性が先に成熟するものを雌性先熟protogyny,逆に雄が先なら雄性先熟protandryといい,どちらも隣接的雌雄同体現象という。また,エゾアカガエルは遺伝的な雄の生殖器官もまず卵巣として分化し,変態時に精巣へ転換する。…

【卵巣】より

…雌雄同体の動物では,精巣とは独立した器官として存在する場合と,両性腺hermaphroditic gland(卵精巣ともいう)として,同一の器官に精巣と共存している場合とがある。両性腺は,軟体動物の腹足類や斧足類,脊椎動物では魚類にその例が認められるが,一般に卵巣機能と精巣機能が同時に発現することはまれで,個体の発達段階に応じて,精巣機能が先に現れ後に卵巣として機能を開始する場合(雄性先熟),逆に卵巣機能が先行して,精巣機能が後から現れる場合(雌性先熟)が多い。 脊椎動物の卵巣は原則として左右1対あるが,卵黄の多い卵をつくる種類ではしばしば一方が退化し,鳥類では右の卵巣,軟骨魚類では左の卵巣が痕跡的になる。…

※「雄性先熟」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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