長月・九月(読み)ながつき

精選版 日本国語大辞典 「長月・九月」の意味・読み・例文・類語

なが‐つき【長月・九月】

〘名〙 (「ながづき」とも) 陰暦九月の異称。《季・秋》
書紀(720)応神二二年(北野本訓)「秋九月(ナカツキ)辛巳朔丙戌(かのとのみのつひたちひのえいぬ)
万葉(8C後)一〇・二一八〇「九月(ながつき)しぐれの雨に濡れ通り春日の山は色づきにけり」
[補注]語源は明らかでない。「拾遺‐雑下」に、「夜昼の数はみそぢにあまらぬをなど長月といひはじめけむ」「秋深み恋する人のあかしかね夜を長月といふにやあるらん」とした、伊衡と躬恒との問答の歌があり、また、夜がだんだん長くなるから「夜長月」というのを誤ったものだと、「奥義抄」にあるので、このような語源解が中古以来広く信じられていたことがわかる。ほかに、稲熟月(いなあがりつき)、稲刈月(いなかりづき)、穂長月(ほながづき)などの変化したものとする説もある。折口信夫によれば、五月と九月とは長雨の時季で、「ながめ」と称する物忌(ものいみ)の月だという。ちなみに、中古には、九月は婚姻や洗髪を忌む月とされていた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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