遠隔作用(生物)(読み)えんかくさよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「遠隔作用(生物)」の意味・わかりやすい解説

遠隔作用(生物)
えんかくさよう

ある生物微生物植物)が自ら生成し体外に遊離する物質によって、他の植物に直接または間接影響を及ぼすことをいう。他感作用またはアレロパシーallelopathyともいう。セイタカアワダチソウが繁茂して群落をつくり、他の植物を排除するのは、この植物の根から分泌される2‐シス‐デヒドロマトリカリアエステルによるものであり、遠隔作用一例である。よく熟した果実や傷ついた果実がほかの果実の熟成を促すのは、エチレンによる遠隔作用であるといえる。

[勝見允行]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の遠隔作用(生物)の言及

【アレロパシー】より

…モーリッシュHans Molisch(1856‐1937)が1930年代に提唱した用語で,他感作用,遠隔作用などと訳されることもある。特定の種の植物が生産する物質が同種あるいは異種の植物に対して及ぼす作用のことをいう。…

※「遠隔作用(生物)」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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