軍制[古代ローマ](読み)ぐんせい[こだいローマ]

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「軍制[古代ローマ]」の意味・わかりやすい解説

軍制[古代ローマ]
ぐんせい[こだいローマ]

王政貴族政期のローマでは,パトリキ (貴族) の占める騎兵主力であったが,前5世紀頃にはプレプス (平民) から成る重装歩兵密集隊が重要な機能を果すにいたり,兵制も整備され,土地,財産の大小に応じて級別を定め,市民の義務,参政権と関連づけた。兵員会を部隊 (ケンツリア ) 単位で構成し,監察官 (ケンソル ) が査閲を行なった。ローマの発展に伴い,兵役も長期化し,手当も与えられるようになった。前3世紀には4軍団,騎兵 300人,歩兵 4200人,ほかに同盟市提供兵があった。全指揮権は執政官 (コンスル ) が掌握した。土地所有農民の没落によって財産を基準とする兵制の維持が困難となり,私兵化,傭兵化の傾向をもった。帝政期には志願による職業的な常備軍が成立し,次第に軍団のある地域から徴集され,土着性を強めるとともに,各軍団が皇帝権と結びつき,軍人皇帝を輩出させる因となった。また前2年に設置された近衛軍は直接皇帝と結びついて,しばしば帝位に介入するにいたった。また異民族の侵入により,正規軍にゲルマン人が増加,主力を占めるようになった。 (→武装と武具)  

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