精選版 日本国語大辞典 「試」の意味・読み・例文・類語
こころ‐・みる【試】
〘他マ上一〙
※書紀(720)神代下(寛文版訓)「僉(みな)曰(まう)さく天穂日(あまのほひ)の命是れ神(かみ)の傑(すくれたる)なり。試(ココロミ)たまは不(さ)る可けん歟(や)」
※竹取(9C末‐10C初)「猶これをやきて心みんと云」
※范の犯罪(1913)〈志賀直哉〉「私は一寸眼をねむって心を鎮めようと試みました」
② 特に、治療などをしてみる。診察する。
こころ‐み【試】
〘名〙 (動詞「こころみる(試)」の連用形の名詞化)
① こころみること。ためしに行なうこと。ためし。試験。
※宇津保(970‐999頃)吹上下「すゑふさ、心みのだいたまはりて、ひとり舟にのせられていでたり」
※宇治拾遺(1221頃)七「ことに的弓の上手なり〈略〉心みあるに、大かた一度もはづさず」
※枕(10C終)一五六「御前のこころみの夜の御髪上」
③ 食事をすること。また、その飲食物。
※宇治拾遺(1221頃)九「侍の料とて、あしくもあらぬ饗一二膳ばかり据ゑつ〈略〉講師の御心みとて、こだいなる物据ゑたり」
④ 試飲、試食をすること。また、そのもの。
※御伽草子・酒呑童子(室町末)「恐れながら童子へも御酒ひとつ参らせん。御心みのために」
⑤ 計画。はかりごと。
⑥ 信仰の決心や固さをためす試練。
※引照新約全書(1880)馬太伝福音書「我儕を試探(ココロミ)に遇(あは)せず悪より抜(すくひ)出し給へ」
こころ・む【試】
〘他マ上二〙 (マ行上一段活用の「こころみる(試)」を上二段に活用させたもの)
① ためしにやってみる。試験してみる。
② 治療、診察をする。脈搏をはかる。脈をとる。
※仮名草子・伊曾保物語(1639頃)下「有驢馬病しける所に、獅子王来てその脈を取りこころむ」
③ 試飲、試食をする。
[語誌]→「こころみる(試)」の語誌
ため・す【試】
〘他サ五(四)〙
※平家(13C前)五「修行といふはいか程の大事やらん、ためいて見ん」
② 特に、武具類の強度や良否などを確かめる。
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「且は鎧の金をもためし」
③ 実際に人を斬って刀の斬れ具合を調べる。ためしぎりをする。
※曾我物語(南北朝頃)一〇「時宗がくたり太刀の刃の程をもためし候はんずる物を」
し【試】
〘名〙 ためすこと。試験。
※古今著聞集(1254)四「宇治左大臣、東三条にて学問料の試をおこなはれけり」 〔五代史‐李懌伝〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報