精選版 日本国語大辞典 「褒章」の意味・読み・例文・類語
ほう‐しょう ‥シャウ【褒章】
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種類 | 授与対象 |
紅綬褒章 | 自己の危難を顧みず人命の救助に尽力した者 |
緑綬褒章 | 自ら進んで社会に奉仕する活動に従事し徳行顕著である者 |
黄綬褒章 | 業務に精励し衆民の模範である者 |
紫綬褒章 | 学術・芸術上の発明・改良・創作に関して事績の著しい者 |
藍綬褒章 | 公衆の利益を興し成績著明である者、または公同の事務に尽力した者 |
紺綬褒章 | 公益のため私財を寄附した者 |
既に褒章を授与された者に、さらに同種の褒章を授与する場合 |
国の栄典の一つ。主として民間人の善行を表彰する趣旨で、国から与えられる名誉の標章。1881年(明治14)褒章条例(太政官布告63号)が公布され、紅綬(こうじゅ)褒章、緑綬褒章、藍綬(らんじゅ)褒章の3種が定められたが、その後1918年(大正7)紺綬褒章、さらに1955年(昭和30)黄綬褒章、紫綬褒章が増設されて、現在6種となっている。これらの褒章は銀製の章(メダル)をつるす綬(リボン)の色によって識別され、表彰の対象となる善行、事績の内容によって、それぞれ授与される褒章が定められている。褒章は、勲章とは異なって等級がなく単一級である。また、褒章の裏面には受章者の氏名が刻印される(紺綬褒章を除く)。すでに褒章を受章した者が再度同じ種類の褒章を授与されるような善行または事績があった場合には、そのつど飾版(褒章の綬につけて飾るもの)1個が授与される。表彰される者が団体の場合には褒状が授与される。授与される者が死亡した場合には、その遺族に、追賞として賞杯(銀杯)または褒状が授与される。なお、1947年(昭和22)新憲法施行の際、他の栄典が廃止または運用の停止措置がとられたのに対し、この褒章制度のみは中断されることなく、むしろ運用が強化され、栄典制度の空白を補う効用があった。
[内閣府賞勲局]
自己の危険を顧みないで人命を救助した者に授与される。綬は紅色。
[内閣府賞勲局]
孝子、節婦など徳行の優れている者に授与される。綬は緑色。第二次世界大戦後の受章者は3人にすぎず、近年授与例はない。
[内閣府賞勲局]
篤農家、一般勤労者を対象とし、業務に精励し衆民の模範たるべき者に授与される。綬は黄色。
[内閣府賞勲局]
学術・芸術上の発明、改良、創作について事績著明な者に授与される。綬は紫色。
[内閣府賞勲局]
教育・衛生・慈善・防疫の事業、学校・病院の建設、道路・河渠(かきょ)・堤防・橋梁(きょうりょう)の修築、田野の墾闢(こんびゃく)、森林の栽培、水産の繁殖、農商工業の発達について公衆の利益を興した者または公同の事務に勤勉した者に授与される。綬は藍(あい)色。
[内閣府賞勲局]
公益のため私財を寄付した者に授与される。綬は紺色。当初は、国および地方公共団体ならびに特定の公益法人に対し私財1万円以上を寄付した者が対象となっていたが、数次の改定を経て、1981年(昭和56)から500万円以上に改められている。なお、二度以上私財を寄付した者には銀飾版が授与されるが、これが5個以上になると、5個ごとにこれらと引替えに金飾版が授与される。また、1500万円以上の私財を寄付した者には、紺綬褒章のほか、木杯一組が授与される。団体が1000万円以上寄付した場合は、褒状が授与される。
[内閣府賞勲局]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
栄典制度の一つで,勲章が国家に功績ある者に与えられるのに対し,社会や公共のため尽くした人々に与えられる栄典。1881年12月7日太政官布告第63号の褒章条例によって規定された。自分の危険を顧みず人命救助をした者には紅綬褒章,孝子・節婦・徳行卓絶なる者や実業に精励して一般人の模範たるべき者には緑綬褒章,教育,病院建設,道路・橋梁などの修築,田野の開墾,実業の発達などに貢献した者に藍綬褒章を与えることとした。綬は3種の色で区別し,メダルの表面に褒章とあり,裏面には〈賜氏名〉が入れられている。1918年9月公共機関に私財を寄付した者への紺綬褒章が追加され,第2次大戦後の1955年1月に条例の一部が改正されて,業務に精励する者への黄綬褒章と,学術,芸術,発明などの顕著な功績に与えられる紫綬褒章の2種が加えられ,6種となった。これらは生存者に与えられるが,受章者が死亡した場合は遺族に賞杯または賞状が授与される。
執筆者:宇野 俊一
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出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…通常の貨幣のほか,オリンピック,万国博覧会など国家的行事に関する記念貨幣の製造も造幣局の業務である。造幣局の業務としては,そのほかに,(1)総理府賞勲局の注文による勲章,褒章類の製造,(2)官公庁その他の注文による銀盃,バッジ,メダル等金属工芸品の製造,(3)鉱山会社,貴金属商等の依頼による貴金属地金の精製および品位証明,(4)官公庁その他の依頼による地金,鉱物の分析および試験,(5)貴金属製品の製造業者または販売業者からの依頼による貴金属製品の品位証明,などがある。なお,毎年,大蔵大臣が執行官となって,〈製造貨幣大試験〉が行われるのが例となっているが,これは,製造された貨幣が定められた誤差の範囲内にあるかどうかを検査するものである。…
※「褒章」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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