(読み)よそおし

精選版 日本国語大辞典 「装」の意味・読み・例文・類語

よそおよそほし【装】

〘形シク〙 (動詞「よそう(装)」の形容詞化。装いがこらしてあるの意)
① きらびやかでいかめしい。おごそかで盛大である。威儀がととのっている。荘厳である。
源氏(1001‐14頃)桐壺ひととせの春宮の御元服、南殿にてありし儀式、よそほしかりし御ひびきにおとさせ給はず」
② とりつくろってよそよそしい。おごそかで近よりにくい。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「れいのうるはしうよそほしき御さまにて心うつくしき御気色もなく」
よそおし‐げ
〘形動〙
よそおし‐さ
〘名〙

そう‐・す サウ‥【装】

〘他サ変〙 つける。装備する。また、よそおう。
正法眼蔵(1231‐53)陀羅尼侍僧ちなみに香炉を装し、燭をたて」
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉七「銃鎗に火薬を装(〈注〉コメ)せしめ」

よそ・る【装】

〘他ラ四〙 (動詞「よそう(装)」と、「もる(盛)」とが混交したもの) 飲食物をすくって器に盛る。〔改正増補和英語林集成(1886)〕
※アパアトの女たちと僕と(1928)〈龍胆寺雄〉一〇「僕の茶碗御飯をよそりながら」

そう サウ【装】

〘名〙
① よそおうこと。衣服をつけて身ごしらえをすること。また、化粧すること。よそおい。〔後漢書‐文苑伝下〕
書物外見体裁装丁

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「装」の意味・読み・例文・類語

そう【装〔裝〕】[漢字項目]

[音]ソウ(サウ)(漢) ショウ(シャウ)(呉) [訓]よそおう
学習漢字]6年
ソウ
衣類などを着けて身繕いする。「装身具軍装女装盛装男装武装服装扮装ふんそう変装洋装礼装
外観をととのえる。「装飾改装新装塗装舗装包装
部品などをととのえる。「装置装塡そうてん装入装備
本や巻軸の外観をつくる。「装丁表装和装本
ショウ
よそおい。「装束しょうぞく
(「」の代用字)衣服。「衣装

そう〔サウ〕【装】

よそおい。「を凝らす」
書物の体裁。装丁。「を新たに再刊する」「フランス

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【あゆひ抄】より

…1773年(安永2)成稿,78年刊(活版本として松尾捨治郎の校注本,国語学大系本がある)。成章は,いっさいの単語を名(体言),装(よそい)(用言),挿頭(かざし)(副詞・接頭語の類),脚結(あゆい)(助詞・助動詞・接尾語の類)の4種に分類したが,本書は,《挿頭抄》(1767),《装抄》(伝わらない)に対して,脚結を5種50類にわけ,その一々の語について,接続,意味用法,時代的変化,証歌を注したもの。語と証歌には口語訳がそえてある。…

【品詞】より

…これらは主として意味上の区別であるが,〈ことば〉や〈用の言〉について,語形変化の性質が意識されていなかったとはいえない。江戸時代に初めて秩序だった分類を示したのは富士谷成章(ふじたになりあきら)で,〈名,挿頭(かざし),装(よそい),脚結(あゆい)〉の4種とし,すべての語をその中に収めようとした。〈脚結〉(《《あゆひ抄》》の項も参照)は助辞,〈装〉は用言,〈挿頭〉は修飾格に立つ諸種の語や接続詞,感動詞,事物代名詞などを含み,〈挿頭〉が最も雑多であるが,主用語である体言,用言のほかに,それらに対する副用語の一類を立てた点は重要である。…

※「装」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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