表裏(読み)ひょうり

精選版 日本国語大辞典 「表裏」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐り ヘウ‥【表裏】

〘名〙
① (━する) おもてとうら。物の表面裏面事柄外面内面。また、表と裏の関係にあること。位置や立場などが互いに相反すること。
万葉(8C後)一八・四一二八右詞文「忽辱恩賜、驚欣已深、心中含笑独座稍開。表裏不同相違何異」
※現代史の課題(1956)〈亀井勝一郎〉対中国関係と日本の矛盾「それは『近代ヨーロッパ』への劣等感と表裏したものであるだけに」 〔管子‐心術下〕
② (━する) ことば態度と内心とが相違すること。陰ひなたがあったり、うそをいったりすること。
※正法眼蔵(1231‐53)坐禅箴「隠顕に表裏なき、これを闊空といふ」 〔史記‐李斯伝〕
③ (━する) おもてとうらが転倒すること。うらはら。
※集義和書(1676頃)一一「一の心病ある故に、百善変じて凶徳となれり。貴殿の故者は表裡せり〈略〉一の徳ある故に、百悪変じて吉となれり」
④ 陣立の名。
武家名目抄(19C中か)軍陣部「西方より表裏の陣を立てられて」

おもて‐うら【表裏】

〘名〙
① おもての方とうらの方。うらおもて。表面と裏面。ひょうり。〔文明本節用集(室町中)〕
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「内の用心を見やうと思って、手燭を持て表裏(オモテウラ)を見たが」
② 表面上の態度と内心。転じて、言動と心とが一致しないこと。心にもないことをすること。うらおもて。ひょうり。
※駒沢大学本臨済録抄(16C後)中「殊に面裏(ヲモテウラ)なきを隠顕と云い出た」
日葡辞書(1603‐04)「Vomote(ヲモテ) vrano(ウラノ) アル ヒト」

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デジタル大辞泉 「表裏」の意味・読み・例文・類語

ひょう‐り〔ヘウ‐〕【表裏】

[名](スル)
表と裏。また、その関係にあること。「表裏をなす」「喜びと表裏して悲しみがある」
外面と内実とで違いがあること。人前での言動と内心とが相違すること。うらおもて。「表裏のある人」
[類語]裏表反対陰日向背中合わせ裏腹面従腹背

おもて‐うら【表裏】

表と裏。
人目に立つ態度と、心のうち。「表裏のない人物

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普及版 字通 「表裏」の読み・字形・画数・意味

【表裏】ひよう(へう)り

表と裏。外と内。〔子、礼論〕く、用省かる。是れ禮のなり。~用、相(たが)ひに外を爲し、表裏竝び行はれて雜(まじ)はる。是れ禮の中なり。

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