落潮（読み）ラクチョウ

デジタル大辞泉

らく‐ちょう〔‐テウ〕【落潮】

１ 引き潮。干潮。おちしお。
２ 物事が衰えていくこと。落ちめ。
「Y子さんには、無残と思われる程の―が来た」〈有島・宣言〉

おち‐しお〔‐しほ〕【落（ち）潮】

引き潮。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

らく‐ちょう ‥テウ【落潮】

〘名〙

① ひきしお。干潮。退潮。おちしお。

※経国集（827）一四・漁歌五首〈嵯峨天皇〉「煙波客釣舟遙、往来無_レ定帯_二落潮_一」 〔劉長卿‐送張判官罷使東帰詩〕

② 衰えていくこと。落ち目。退潮。

※宣言（1915）〈有島武郎〉「健康も比例して回復した。仕事の興味がうづうづする程湧き上った。それに反してＹ子さんには、無残と思はれる程の落潮が来た」

③ 相場が低落の傾向を示すこと。

おち‐しお ‥しほ【落潮】

〘名〙 (「おちじお」とも) 引き潮。干潮。

※謡曲・清経（1430頃）「舟よりかっぱと落(オ)ち汐(ジオ)の、底の水屑(みくず)と沈み行く」

出典　精選版 日本国語大辞典

普及版 字通

【落潮】らくちよう

潮がひく。

字通「落」の項目を見る。

出典　平凡社「普及版 字通」

世界大百科事典（旧版）内の落潮の言及

【黒潮】より

…また桔梗水（ききようみず），上紺水(ともに東北地方)は色の類似性により，真潮（ましお）(三重県など)や本潮(紀南)などの名は黒潮が漁民にとって占めてきた位置の重要性を物語っている。さらに日の本潮，上の沖潮(ともに宮崎県)，北沖潮(三陸地方)，落潮（おとしお）(伊豆七島)などの呼名もある。　黒潮の存在が昔から知られていたことは，例えば《平家物語》に，鬼界ヶ島(鹿児島県硫黄島)から卒塔婆を流して瀬戸内海の宮島に漂着したという話があることからも分かるのであるが，黒潮という名前が最初に文献に現れたのは1782年(天明2)に書かれた佐藤行信の《海島風土記･八丈島》であるとされており，この中に〈……これを島にて黒潮とも山潮とも唱え……〉というくだりが見られる。…

【硯】より

…形は長方形，正方形，円形，楕円形，風字形のほか，自然や人工の姿にかたどって種々の名称がつけられている。硯の表面を硯面，背面を硯背，側面四囲を硯側，硯面の縁周を硯縁，頭部を硯首，墨をする所を墨堂，墨道あるいは墨岡，墨汁をためるくぼみを墨池，硯池あるいは海，墨堂と硯池の境界部を落潮，硯背の足を硯足，硯背の空隙部を挿手あるいは抄手（しようしゆ）などという。硯面には無数の微細な鋒鋩（ほうぼう）があり，これに墨がひっかかってすりおろされる。…

※「落潮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」