結句(読み)けっく

精選版 日本国語大辞典 「結句」の意味・読み・例文・類語

けっ‐く【結句】

[1]
詩歌の最後の句。結びの句。
歌経標式(772)「故以五句結句、余亦准之」 〔滄浪詩話‐詩法〕
物事の終わり。最後。結末
愚管抄(1220)四「ひしと結句をばしろしめつつ御さたはある事なれば」
[2] 〘副〙
① 物事が最後にゆきついた状態を表わす語。とどのつまり。あげくのはて。結局。
※平仮名古活字三巻本宝物集(1179頃)下「酒にゑひて本心をうしなふゆゑに、人のめををかし、けっく庭鳥をぬすみてころしける」
② 物事の状態が、予想していたのとは反対に、あるいは予想以上に発展するさまを表わす語。かえって。むしろ。その上。
曾我物語(南北朝頃)七「五郎は、ゆるさるる事はかなはで、けっく、後の世までと、ふかく勘当せられて」
[語誌](1)(一)①が本来の用法と思われるが、鎌倉時代以前に用例を見出すことは難しく、わずかに挙例の「歌経標式」が見られるにすぎない。
(2)鎌倉時代においては、「結句」の前文後文とで、主語が異なる場合には(二)①の意になることが多く、主語が同一の場合には(二)②の意になることが多かったが、室町時代になると、主語が同一でありながら(二)①の意を表わす例が多くなってくる。現在、(二)①の意を表わす副詞としては通常「結局」が用いられるが、これが一般化するのは明治以降のことである。→「けっきょく(結局)」の語誌

け‐く【結句】

〘副〙 (「けっく(結句)」の変化した語) かえって。むしろ。また、あげくのはて。結局。
評判記色道大鏡(1678)四「おとこ面目なくて佗言の沙汰に及ばず、けく腹立する物なり」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「結句」の意味・読み・例文・類語

けっ‐く【結句】

[名]詩歌の終わりの句。特に、漢詩絶句の第4句。
[副]
とどのつまり。あげくのはて。結局。
「わたし自身で道をつけてやる方が―女の為だと考え」〈荷風・あぢさゐ〉
かえって。むしろ。反対に。
「いつも此同胞きょうだいを借りて重宝するを、此方こなたは―有難い事におもうて」〈紅葉・二人女房〉
アクセントはケックック。
[類語]結局つい畢竟ひっきょうとどの詰まり詰まるところ帰するところせんずるところ要するにどの道いずれ所詮しょせんどうせつまり矢張りいずれにしても挙げ句挙げ句の果ていよいよとうとう差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道もはやとにかく何しろ何せ何分なにぶん何分にもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「結句」の読み・字形・画数・意味

【結句】けつく

詩文の末句。〔芸苑巵言、一〕七言律は中二聯はからざるも、は發端(ほつたん)び結句に在るのみ。發端は、の人佳ならざる無し。結も頗(すこ)ぶる之れり。

字通「結」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の結句の言及

【短歌】より

…5・7・5・7・7を上3句(5・7・5)と下2句(7・7)とに分け,前者を〈上句(かみのく)〉,後者を〈下句(しものく)〉と呼ぶ。第1句(5)を初句,頭句,起句,第2句(7)を胸句,第3句(5)を腰句,第5句を結句,尾句,落句などと呼んでいる。5句31拍に合わない作を〈破調〉といい,長すぎるものを〈字あまり〉,短いものを〈字足らず〉と呼ぶ。…

※「結句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android