空腹(読み)くうふく

精選版 日本国語大辞典 「空腹」の意味・読み・例文・類語

くう‐ふく【空腹】

〘名〙 (形動) (古くは「くうぶく」とも) 腹がへること。また、すいている腹。すきばら。くふく。
海道記(1223頃)序「空腹一杯の粥、飢ゑて啜れば」
日葡辞書(1603‐04)「Cùbucu(クウブク)
滑稽本東海道中膝栗毛(1802‐09)七「ふたりは空腹(クウフク)となりたるに」 〔白居易‐間楽詩〕

そら‐ばら【空腹】

〘名〙
① いつわって腹痛らしく見せかけること。
浄瑠璃三世相(1686)四「何のそらばらびくともさせじ」
② いつわって腹を切るまねをすること。
※俳諧・類船集(1676)以「忠信か空腹(ソラハラ)は君をたすけ、老莱が泣は孝を尽す至り也」

から‐はら【空腹】

〘名〙
① 腹の中がからであること。くうふく。すきばら。からっぱら。
※三百則抄(1662)二「多と云は、一踏下にある風流だぞ。形つくろいして好む風流では無いぞ。在れども塗毒の則んば、から腹になることはなったぞ」
② 米の端境期(はざかいき)。九月頃をいう。〔現代大辞典(1922)〕

すきっ‐ぱら【空腹】

〘名〙 「すきはら(空腹)」の変化した語。
※落語・芝居好泥棒(1898)〈六代目桂文治〉「空腹(スキッパラ)だから腹の中を酒が駈け歩行(あるい)て居やがる」

すき‐はら【空腹】

〘名〙 (「すきばら」とも) 食べ物が何も入っていない腹。腹のへっていること。くうふく。すきっぱら。
御伽草子・福富長者物語(室町末)「これかまへて、すき腹にすかせ給ふな」

く‐ふく【空腹】

色葉字類抄(1177‐81)「空腹 クフク」

からっ‐ぱら【空腹】

〘名〙 「からはら(空腹)」の変化した語。
※浄瑠璃・曾我五人兄弟(1699頃)二「からっぱらにて、がいにめがまひさうな」

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デジタル大辞泉 「空腹」の意味・読み・例文・類語

くう‐ふく【空腹】

腹が減ること。すきばら。「空腹を満たす」⇔満腹
[類語]空き腹腹ぺこえるかつえる腹が減るひもじいひだるい食い足りない口寂しい口ざみしいぺこぺこ空腹感飢餓感飢え飢餓干乾し飢渇飢饉水飢饉空き腹空きっ腹ハングリー腹がすく小腹がすく

そら‐ばら【空腹】

腹痛らしくみせかけること。
「あら腹いたや、痛や痛やと―病めど」〈浄・丹波与作
切腹のふりをすること。
「―切って城を落ちしは忠信がはかりごと」〈浮・万金丹・四〉
腹を立てたふりをすること。
「それは合点の行かぬことを承るとて、―を立ちけるところに」〈咄・戯言養気集・上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「空腹」の読み・字形・画数・意味

【空腹】くうふく

すきばら。〔本草綱目、穀四、酒〕物志に云ふ。~三人霧をして晨に行く。一人は酒を飮み、一人はし、一人は腹なり。腹なるは死し、み、酒を飮みしなり。

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