破棄(読み)ハキ

デジタル大辞泉 「破棄」の意味・読み・例文・類語

は‐き【破棄/破毀】

[名](スル)
破り捨てること。「不要な資料を―する」
契約・取り決めなどを一方的に取り消すこと。
事後審査を行う上級裁判所が、上訴理由があるとして原判決を取り消すこと。
[類語](1廃棄捨てる投棄遺棄焼却焼き捨てる掃き捨てる投げ捨てるかなぐり捨てるぽいする/(2廃止撤廃解消撤回廃棄放棄全廃廃する

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改訂新版 世界大百科事典 「破棄」の意味・わかりやすい解説

破棄 (はき)

上訴裁判所原裁判を取り消して,その効力をないものとすることをいう。刑事訴訟上告および控訴裁判所では,破棄といい(刑事訴訟法397条,410条),民事訴訟上告裁判所でも,破棄といっているが(民事訴訟法325条),民事訴訟の控訴裁判所では,たんに〈取消し〉といっている(305条)。上訴裁判所は,原裁判を破棄(または,取消し)したあとは,次のいずれかの処置をとらなければならない。(1)事件についてみずから裁判すること(自判),(2)事件を原裁判所(または第一審裁判所)へ差し戻して,事件について再審理を行わせること(差戻し),(3)原裁判所(または第一審裁判所)が管轄権のない裁判所であるときは,事件を管轄権のある裁判所へ移送すること(刑事訴訟法399条,民事訴訟法309条)。なお,事件を原裁判所(または第一審裁判所)に差し戻したときは,前の裁判に関与した裁判官は事件の再審理に関与することは許されないので(刑事訴訟法20条7号,民事訴訟法325条4項),事件を差し戻そうと思っても該当の裁判所がないことがあり,そのようなときは,原裁判所と同等の他の裁判所(または第一審裁判所と同等の他の裁判所)へ事件を移送する(刑事訴訟法400条,413条,民事訴訟法325条1項)。
事実審・法律審 →上訴
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「破棄」の意味・わかりやすい解説

破棄
はき
reversal

事後審査 (原判決の当否を審査すること) の裁判所が上訴に理由があると認め,原判決を取消すこと。破棄したあと,どう処理するかによって破棄差戻し破棄移送破棄自判の3つに分れる。

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普及版 字通 「破棄」の読み・字形・画数・意味

【破棄】はき

廃棄する。

字通「破」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の破棄の言及

【控訴】より

…公判手続は,控訴趣意書に基づく弁論によって始まる。裁判所は,原判決を破棄すべき理由があるかどうかという観点から,控訴趣意書に含まれた事項は必ず調査しなければならないが,それ以外でも控訴の理由となりうる事由については職権で調査を及ぼすことができる(392条)。これらの調査をするために必要があるときは,裁判所は当事者の請求または職権で事実の取調べをすることができる。…

【判決】より

…これらのうち,どれがどの上訴において理由としうるかについては〈控訴〉〈上告〉の項を参照されたい。 破棄,自判,差戻し,移送破棄とは,民事訴訟の上告審または刑事訴訟の控訴審・上告審が,原審の判決を取り消すことをいう(民事訴訟の控訴審では,単に取消しという)。自判とは,下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,みずから事件について審理・判決をすることをいい,差戻しは,同様に下級審の判決を破棄しまたは取り消した上訴審が,自判せずに,事件を下級審に再審理させるために送り返すことをいう。…

※「破棄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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