物故(読み)ものゆえ

精選版 日本国語大辞典 「物故」の意味・読み・例文・類語

もの‐ゆえ ‥ゆゑ【物故】

〘接助〙 (名詞「もの」「ゆえ」の重なってできたもの。「に」を伴って「ものゆえに」の形をとることもある) 活用語連体形を受ける。特に、中古以降は大部分が打消を伴った活用語の連体形に付く。
① 逆接を表わす。
万葉(8C後)一九・四一六八「毎年(としのは)に来鳴く毛能由恵(モノユヱ)ほととぎす聞けば偲はく逢はぬ日を多み」
② 順接を表わす。
※竹取(9C末‐10C初)「事ゆかぬ物ゆへ大納言をそしりあひたり」

ぶっ‐こ【物故】

〘名〙 人が死ぬこと。死去物化。もっこ。
続日本紀‐天平宝字七年(763)五月戊申「漂着日南、時栄叡物故」
※随筆・文会雑記(1782)三「堀正超は物故せり。甥の貞介跡をつぎしとなり」 〔荀子君道

もっ‐こ【物故】

〘名〙 人が死ぬこと。死去。ぶっこ。
太平記(14C後)一八「過去聖霊藤原氏女、并物故(モッコ)秦武文共に三界の苦界を出て、速に九品浄刹に到れ」

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デジタル大辞泉 「物故」の意味・読み・例文・類語

ぶっ‐こ【物故】

[名](スル)人が死ぬこと。死去。「昨年物故した友人」「物故者」
[類語]死ぬ死亡死去死没永逝長逝永眠往生逝去他界絶息絶命大往生お陀仏死する辞世成仏昇天崩御薨去卒去瞑目落命急逝夭折夭逝亡くなる死する没する果てる眠るめいするたおれる事切れる身罷みまか先立つ旅立つ急死する頓死とんしする横死する憤死する息を引き取る冷たくなるえなくなる世を去る帰らぬ人となる不帰の客となる死出の旅に出る亡き数に入る鬼籍に入る幽明さかいことにする黄泉こうせんの客となる命を落とす人死に物化まかくたばる絶え入る消え入るはかなくなる絶え果てる空しくなる仏になる朽ち果てる失命夭死臨終ぽっくりころり突然死即死

もっ‐こ【物故】

[名](スル)ぶっこ(物故)」に同じ。
先生父君は―せられて」〈蘆花思出の記

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普及版 字通 「物故」の読み・字形・画数・意味

【物故】ぶつこ

死ぬ。〔後漢書、五行志五〕安四年二、武陵充縣の女子李娥、年六十餘にして物故す。~外數里の上(ほとり)に(うづ)む。已に十四日、行(みち)に其の冢中に聲るを聞く。~家きて、聲を聽き、(すなは)ち發出せるに、に活きたり。

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