熱雷(読み)ねつらい

精選版 日本国語大辞典 「熱雷」の意味・読み・例文・類語

ねつ‐らい【熱雷】

〘名〙 夏季、強い日射によって地面が過熱され、それによってできた上昇気流で生じた雷。山岳地方でよく発生し、強い雷雨となる。《季・夏》 〔天気予報論(1946)〕

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デジタル大辞泉 「熱雷」の意味・読み・例文・類語

ねつ‐らい【熱雷】

夏の強い日射を受けて局地的に激しい上昇気流が起こり、積乱雲発達して生じる雷。山岳地帯でよく発生し、強い雷雨となる。気団雷
[類語]いかずち鳴る神らい雷鳴雷電天雷急雷疾雷しつらい迅雷じんらい霹靂へきれき雷公遠雷春雷界雷落雷稲妻いなずま稲光いなびかり電光紫電しでん

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「熱雷」の意味・わかりやすい解説

熱雷
ねつらい

夏季に山地斜面などが日射で強く熱せられて生じた上昇気流が原因でおこる雷。小笠原(おがさわら)高気圧のように高温多湿気団で、さらに上空に寒冷な空気が流入すると強い雷雨となる。これに対して、寒冷前線に沿う上昇気流で発生する雷は界雷または前線雷とよばれる。また実際には双方の原因が複合していることも多く、その場合には熱界雷とよばれる。

[三崎方郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「熱雷」の意味・わかりやすい解説

熱雷
ねつらい
hot thunderstorm

夏季に強い日射で地表面が熱せられ,大気が不安定になって生じる上昇気流が原因で発生する雷雨。日射が強くても風が強かったり,空気が乾燥しているときには発生しない。日本では北関東鈴鹿山脈などの山地に多く発生し,1時間に 40km程度の速度で移動する。また,この雷雨は積雲積乱雲かなとこ雲と,雲形変化により発達や衰弱様子がよくわかる。

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百科事典マイペディア 「熱雷」の意味・わかりやすい解説

熱雷【ねつらい】

夏の強い日射で地面などが局地的に強く熱せられ,湿気を含んだ下層の空気が上昇して雷雲が発達し生じる雷雨。高温,多湿の小笠原気団におおわれているときに多い。上空に寒冷空気が流入し,大気が不安定な状態になっている場合に強い雷雨となる。北関東,鈴鹿山脈などの山地に多く発生,範囲は狭く,毎時40kmぐらいの速さで移動する。
→関連項目雷雨

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世界大百科事典(旧版)内の熱雷の言及

【雷】より

…夏の激しい雷雨は,前線とともに毎時20~40kmで移動するものが多く,このときは進行方向につぎつぎと新しい細胞が発生する。
[界雷,熱雷,渦雷]
 雷雲を形成する上昇気流の成因によって,雷雨を界雷,熱雷,渦雷の三つに分けている。(1)界雷,前線雷 一般に雷雨は,寒暖気温の異なる二つの気団の境界面で発生することが多く,放電活動の激しい雷雨は寒冷前線上に発生することが多い。…

※「熱雷」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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