焼酎(読み)しょうちゅう

精選版 日本国語大辞典 「焼酎」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ちゅう セウチウ【焼酎】

〘名〙 清酒粕や味醂粕などを蒸留してつくった、アルコール分の強い酒。穀類・甘藷・馬鈴薯などを原料にして醸造することもある。飲料として、また、各種の酒類製造の原料として用いる。《季・夏》
御伽草子・酒茶論(古典文庫所収)(室町末)「長崎ひらどの、ぶどうしゆ、しやうちう」

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デジタル大辞泉 「焼酎」の意味・読み・例文・類語

しょう‐ちゅう〔セウチウ〕【焼酎】

日本固有の蒸留酒酒かすみりんかすを蒸留したものと、穀類やサツマイモ発酵させたもろみを蒸留したものとがある。アルコール分20~50パーセント。米焼酎・芋焼酎・麦焼酎・泡盛など多くの種類がある。 夏》「汗垂れて彼の飲む―豚の肝臓きも波郷
[補説]酒税法では、連続式蒸留機で蒸留した甲類と、単式蒸留機で蒸留した乙類に分類される。→甲類焼酎乙類焼酎
[類語]酒類さけるい酒類しゅるい般若湯アルコール御酒お神酒銘酒美酒原酒地酒忘憂の物醸造酒蒸留酒混成酒合成酒日本酒清酒濁酒どぶろく濁り酒生酒新酒古酒樽酒純米酒灘の生一本本醸造酒吟醸酒大吟醸冷や卸し屠蘇とそ甘露酒卵酒白酒甘酒泡盛ビール葡萄酒ワインウイスキーブランデーウオツカラムテキーラジンリキュール果実酒梅酒薬酒やくしゅみりん白酒しろざけ紹興酒ラオチューマオタイチューカクテルサワージントニックジンフィーズカイピリーニャマティーニ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「焼酎」の意味・わかりやすい解説

焼酎
しょうちゅう

日本の代表的な蒸留酒。原料として米、麦、ソバなどの穀類やサツマイモ、ジャガイモなどが用いられる。中国の茅台酒(マオタイチウ)、イギリスのウイスキー、フランスのコニャックに相当する名蒸留酒といわれる。新式蒸留法による「甲類」と、伝統的な蒸留法による「乙類」に分かれる。

 現在の焼酎はアルコール分として20度から45度(%と同じ)まであるが、25度のものが量的にもっとも多い。焼酎の定義は、米、麦、いもなどのデンプン質を麹(こうじ)で糖化、発酵させ、また糖蜜(とうみつ)など糖質原料を発酵させ、蒸留したものである。甲類は連続式蒸留機を使用し、乙類は単式蒸留機(ポットスチル)を用いてつくる。アルコール分は甲類は36度以下、乙類は45度以下とされている。要するに甲類は純アルコールを水で薄めたもので、ホワイトリカーともよばれる。乙類は旧式焼酎とか本格焼酎ともよばれ、わが国固有のものである。ウイスキー、ブランデーと税法上異なるのは、焼酎が原料に発芽穀類(たとえば麦芽)や果実類を使用しない点である。また、糖蜜などの使用は原則として甲類に限られている(奄美(あまみ)大島の黒糖焼酎は乙類であるが例外)。

[秋山裕一]

歴史

鹿児島県伊佐(いさ)市大口大田(おおくちおおた)の郡山八幡(こおりやまはちまん)の社殿から発見された墨書木片(大工の落書き)には、1559年(永禄2)この地方で「焼酎」が飲まれていたことを示す記事があった。「焼酎」の語は中国になく、日本でもこの木片の文字が初見である。『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』(1713)には、「焼酒」の項に「しやうちう」「シヤウツユウ」と仮名を振り、「火酒、阿剌吉酒(アラキサケ)、今焼酎ノ字ヲ用フ、酎ハ重醸酒ノ名也(なり)、字義亦(また)通ズ」と解説している。阿剌吉酒は、アラビア語のアラック(汗とか蒸散の意)が語源で蒸留酒を意味し、同様の語が中国や東南アジアでも通用している。肥前(佐賀県・長崎県)・肥後(熊本県)あたりでは荒木酒、荒気酒と書いた例もある。

 中国で初めて南蛮焼酒―阿剌吉・阿里乞(アリキ)の記録が現れるのは元朝(13~14世紀)であり、1477年(文明9)には沖縄に南蛮焼酒のあったことが済州島民の漂流報告で知られる。これらの焼酒を蒸留する器具はアラビア語でアランビックとよばれ、日本でもランビキ(蘭引)とよんでいる。中国人は、阿剌吉を南蛮(雲南地方)より伝わったものとし、沖縄では南蛮(タイ)から伝来したものと伝承している。沖縄に伝わった南蛮焼酒はのちに泡盛(あわもり)とよばれるようになるが、この製法はやがて薩摩(さつま)(鹿児島県)に伝わり、焼酎となるのである。

 沖縄・鹿児島の焼酎は、米あるいは黍(きび)・粟(あわ)などの雑穀を原料として麹を加えて仕込む「醪取(もろみど)り」であったが、17世紀後半には他地域にも普及して、清酒の搾り粕(かす)を蒸留する「粕取り」も行われた。いも焼酎が登場するのは甘藷(かんしょ)(サツマイモ)が伝来し、普及した江戸後期のことである。

 江戸時代には、焼酎はみりん、白酒(しろざけ)作りに用いられ、さらに草根木皮を加えて長寿薬として屠蘇(とそ)酒や保命酒などがつくられた。

[秋山裕一]

生産・消費

焼酎甲類は、連続式蒸留機により95%の精留アルコールをつくり、これに加水して所定のアルコール度数に調整し、貯蔵して出荷する。風味を増すために乙類を混和したものもあり(この場合、甲乙混和あるいは乙甲混和と多いものを先に記す)、5%以内では混和を表示しなくてよいことになっている。

 焼酎乙類は、地方によりその地の農産物が主原料に使われ、多様である。主原料により製法は多少異なるが、原理的には、米麹を用いて一次もろみ(酒母に相当)をつくり、発酵、これに主原料を加えて二次もろみをつくり、熟成を待って単式蒸留機で蒸留する。米麹は、明治末期までは日本酒用の黄麹(きこうじ)菌を用いていたが、現在ではクエン酸をつくる黒(くろ)麹菌あるいはその変異した白麹菌を用いる。主産地の九州や沖縄地方は、温暖なために「寒づくり」という自然条件に恵まれず、発酵を阻害する乳酸菌などが増殖しやすい。これを防ぐためにクエン酸を多くつくる黒麹菌を使うのである。麹の作り方は日本酒の場合とほぼ同じである。原料は地方により特色があり香味も違う。沖縄の泡盛はタイ米を用い全量を麹としてもろみをつくる。したがって特有の香りと濃い味をもつ。熊本県球磨(くま)地方では米、鹿児島県・宮崎県・八丈島ではサツマイモ(酒質は軽く甘味があるが、ふかしいもの香りがする)、壱岐(いき)は麦(麦こがしのような風味がある)、奄美大島では米と黒糖が、宮崎県の高千穂や長野県ではソバが使われる。九州地域では麦焼酎が多い。清酒の搾り粕を使う粕取り、清酒やもろみを蒸留する酒取り、もろみ取り、米糠(ぬか)取りもある(第二次世界大戦の敗戦直後に出回ったカストリは、どぶろくを蒸留した密造酒である)。各地で焼酎がつくられ、また、原料事情も変わってきているので、かならずしも前記によらないことがある。飲み方もストレート、オンザロック、お湯割りなどさまざまである。

 蒸留の方法は、かぶと釜(がま)という単式蒸留機を用いるが、直火(じかび)式と蒸気吹込み式あるいは間接加熱式などがある。焼酎はウイスキーのように再留をしないから、蒸留のやり方が品質に影響する。初留はアルコール分も高く香気成分も多いが、アルデヒドのような香りのよくない成分も含まれ、後留区分はもろみの温度が上がり、焦げ臭などがつきやすいので注意が必要で、適当量を除く。アルコール分35~42度くらいで貯蔵するが、貯蔵中に浮上してくる油性物質はリノール酸などの高級脂肪酸エステルで、油臭といわれる不快臭の元になったり、白濁をおこすので、品質の保持や澄明な焼酎を出荷するために濾過(ろか)精製する。

 生産は南九州が主産地だが、かつては全国各地の酒造家の副業で製造され、1935年(昭和10)ごろには約9万キロリットルであった。第二次世界大戦後いち早く復活したアルコール飲料は焼酎で、50年には日本酒と同量の18万キロリットルを生産し、55年ごろには28万キロリットルを示した。以後20万キロリットルを保っていたが、焼酎人気の復活によって、消費は活発化した。81年には甲類約15万キロリットル、乙類約10万キロリットル、84年には甲類約35万キロリットル、乙類20万キロリットル、95年(平成7)には甲類38万キロリットル、乙類27万キロリットルと増加している。なお泡盛は古酒(クース)を珍重するが、わが国では焼酎を貯蔵、熟成させる習慣がなく、その年のものを消費している。しかしウイスキー、ブランデーに倣い、貯蔵、熟成したものも出回っている。

[秋山裕一]

『菅間誠之助著『焼酎のはなし』(1984・技報堂出版)』『菅間誠之助著『焼酎の事典』(1985・三省堂)』『朝日新聞西部本社社会部編『焼酎』(1983・朝日新聞社)』『福満武雄著『焼酎』(1976・葦書房)』『日本醸造協会編・刊『本格焼酎製造技術』(1991)』


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改訂新版 世界大百科事典 「焼酎」の意味・わかりやすい解説

焼酎 (しょうちゅう)

日本在来の蒸留酒。〈焼〉は加熱の意,〈酎〉は重醸,つまり,つくりかえした濃い酒の意である。米,麦,サツマイモその他のデンプンをこうじ(麴)で糖化するとともに酵母で発酵させ,そのもろみ,またはもろみを搾ったあとの酒かすを単式蒸留機で蒸留する。これが在来の焼酎で,現今の酒税法ではこうしてつくられたアルコール分45%以下のものを焼酎乙類と呼ぶ。これに対して,糖みつなどの農産物を原料としてこれをアルコール発酵させ,連続式蒸留機を用いて高純度のアルコールをとり,これを水でうすめてアルコール分36%以下にした酒を焼酎甲類と呼んでいる。乙類は本来のものの意味で本格焼酎ともいい,甲類は1899年に神谷伝兵衛がドイツから輸入した連続式蒸留機でアルコールを製造し,これに水を加えてつくったのが初めで,新式焼酎と呼ばれ,近年はホワイトリカーの名で親しまれている。ちなみに神谷伝兵衛は1882年〈蜂印葡萄酒(はちじるしぶどうしゆ)〉を発売,のちに東京浅草に神谷バーを開き,〈電気ブラン〉の名を高からしめた人物である。

 本格焼酎は製造法によって,もろみ取焼酎とかす取焼酎とに分けられる。現在のもろみ取焼酎は,黒こうじ菌系統のカビでつくったこうじと水の混合物に酵母を培養した酒母(一次もろみという)に,蒸したデンプン質原料と水を加えて二次もろみをつくって発酵させたあと蒸留するもので,アルコール以外の揮発成分を多く含んでいる。これに水を加えてアルコール分45%以下の製品とする。もろみ取焼酎は,二次もろみに使用するデンプン質原料の種類によって,米焼酎,いも焼酎,麦焼酎,黒糖焼酎,そば焼酎などと呼ばれる。米焼酎は熊本県が主産地で,人吉市を含む球磨(くま)地方でつくられるものは球磨焼酎の名で知られる。いも焼酎はサツマイモを使うもので,鹿児島県,宮崎県,東京都の伊豆諸島が主産地である。麦焼酎は長崎県壱岐(いき),黒糖焼酎は鹿児島県大島郡の特産,そば焼酎は宮崎県に多い。もろみ取焼酎の原型として,一次もろみをそのまま蒸留する沖縄特産の泡盛がある。以上のほか二次もろみにトウモロコシ,ヒエ,アワ,キビ,および上質の米ぬかなどを使うものもある。かす取焼酎は,清酒製造時の副産物である酒かすを原料としてつくられる。酒かすにはふつう5~8%のアルコール分が含まれているが,これに散水しながら桶に漬けこんで再発酵させると,アルコール分は2~3%ほど増加する。それをだんご状に成形し,もみ殻をまぶして単式蒸留機で蒸留するもので,アルコール分25~30%の本格的な焼酎である。ただし,第2次世界大戦後の混乱期に出回った粗悪な密造酒が〈かすとり〉と呼びならわされたことがあり,それと混同されて悪いイメージをもたれたこともあった。

 焼酎の起源は,西洋の蒸留酒と同様,ヘレニズム文化に求めることができる。中国には元朝(1260-1368)に,現在の雲南地方から伝えられ,阿剌吉(あらき)または阿里乞(ありき)と呼ばれた。日本への伝来径路としては朝鮮半島説と南方海上路説がある。《李朝実録》によれば1404年(応永11),太宗より対馬(つしま)の宗貞茂に焼酎が贈られたとあり,これが最初の記録とされる。しかし,対馬,壱岐で明治以前に焼酎がつくられた事績はない。一方,琉球では1420年に現在のタイとの交易が始まり,焼酎が輸入されるとともに,15世紀末には製造が始められた。この焼酎は,のちに泡盛と呼ばれるようになるが,16世紀初頭に琉球王家より薩摩の島津侯へ贈られ,1596年(慶長1)当時すでに焼酎は薩摩藩領内の庶民にまで普及していた。南九州へ伝えられた焼酎は,清酒の製造法が加味され,多様化されていった。《本朝食鑑》(1695)が新酒のかす(糟)でつくるとしているように,清酒製造業の副業としてのかす取が本州では主流をなしていたが,沖縄や九州では米,麦,サツマイモのほかに雑穀を用いたもろみ取焼酎がそれぞれの地方の特産物としてつくられていた。これらのもろみ取焼酎が広域市場に進出するようになったのは昭和50年代に入ってからである。ちなみに,江戸時代の日本人の多くにとって,焼酎はきわめて激烈な酒として認識されていた。そのため傷口の消毒剤としておおいに利用されたが,一方,多量に飲んだのちタバコを吸い,あるいは,こたつに入って寝たところ,口から炎が出て黒こげになって死んだという話が,諸書に散見される。
蒸留酒
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食の医学館 「焼酎」の解説

しょうちゅう【焼酎】

《栄養と働き》


 焼酎(しょうちゅう)とは、もともと蒸留酒を意味する言葉です。
 現在では米や麦、イモ、糖蜜(とうみつ)などを原料にしてつくられる蒸留酒の総称となっており、製法から連続式蒸留焼酎(旧甲類)と単式蒸留焼酎(旧乙類)に分類されます。
 連続式蒸留焼酎は糖蜜をおもな原料に、その発酵液を連続式蒸留機で蒸留します。風味成分の大半が取り除かれているので、色や香りはなく、純アルコールの水溶液に近いものとなります。
 一方、単式蒸留焼酎はサツマイモ、米、麦、そばなどを原料に、単式蒸留機で蒸留したもので、沖縄の本場泡盛(あわもり)もこれに含まれます。こちらは原料由来の風味成分が多く含まれており、独特の香りや味わいがあることが特徴。製法的にはウイスキーの仲間と考えてよいでしょう。
〈長寿世界一でギネスにのった故・泉重千代翁も焼酎の愛飲者〉
○栄養成分としての働き
 焼酎は蒸留過程を経てアルコール分を抽出したものだけに、一般的な栄養素にあたる成分は含まれていません。しかし、最近の研究によって、単式蒸留焼酎には、血液中の血栓(けっせん)を溶かす線溶酵素(せんようこうそ)(プラスミン)という物質を、増加させる作用があることがわかってきました。
 こうした作用はアルコール飲料全般について、ある程度見受けられるものですが、実験による比較では、単式蒸留焼酎のプラスミン増加作用は、他のアルコール飲料にくらべて抜きんでています。そこで、まだ特定はできていませんが、単式蒸留焼酎にはプラスミンの増加をうながす、なんらかの成分が含まれているものと考えられています。
 つまり、単式蒸留焼酎を適量飲むことは、血液の流れをよくして血栓症を防ぎ、心筋梗塞(しんきんこうそく)や脳梗塞(のうこうそく)の予防にもつながるというわけです。

 ただ、同じ焼酎でも連続式蒸留焼酎には、単式蒸留焼酎のように顕著なプラスミン増加作用は認められていません。
○注意すべきこと
 強いアルコール飲料なので、多飲をひかえましょう。

《調理のポイント》


 焼酎のアルコール度数は、通常、20度、25度、35度の3種類で、これを超すものは税制上、スピリッツの範疇(はんちゅう)に含まれます。
 その利用法は、連続式蒸留焼酎の場合、クセのない風味をいかして、酎ハイやカクテルのベースにしたり、果実酒、薬酒の漬け込みに使うのが一般的となっています。
 単式蒸留焼酎は、お湯割り、お燗(かん)、水割り、オンザロックなどで楽しむことが多いようです。また、豚肉と野菜を煮込んだ鹿児島料理の「とんこつ」は、煮込みの際に焼酎をたっぷり使うのが本格的とされます。
 単式蒸留焼酎は、原料によって風味が大きく異なります。それぞれの持ち味を酒屋さんによく聞いて買うといいでしょう。
<家庭でできるおもな薬酒・およびその効果>
・カリン酒
材料/カリン果実3~4個、焼酎1升、氷砂糖100~200g
作り方/カリンの果実を1cm厚程度の輪切りにして、氷砂糖とともに焼酎で漬け込む。2か月めくらいから飲めるが、半年以上ねかすのが理想。
おもな効用/せき、疲労倦怠、肌荒れ、冷え症。
・キンカン酒
材料/キンカン果実1kg、焼酎1升、氷砂糖100~200g
作り方/キンカン果実を丸ごと、氷砂糖とともに焼酎で漬け込む。1か月くらいで熟成し、飲めるようになる。実は3か月くらいで取りだすのがよい。
おもな効用/かぜ、のどの痛み、胃弱。
・クコ酒
材料/クコの乾燥果実100g、焼酎1升、氷砂糖100g
作り方/クコの乾燥果実をガーゼの袋などに入れて、氷砂糖とともに焼酎で漬け込む。1か月めくらいから飲めるが、できれば3か月以上熟成させたい。
おもな効用/低血圧、不眠症、虚弱体質、疲労倦怠、胃弱ほか。
・ニンニク酒
材料/ニンニク150~200g、焼酎1升、氷砂糖100~300g
作り方/ニンニクの外皮をはがして、氷砂糖とともに焼酎に漬け込む。2~3か月めから飲めるが、長く漬けたほうが特有のにおいはやわらかくなる。
ニンニクを蒸してから漬けてもよい。
おもな効用/虚弱体質、疲労倦怠、冷え症、胃弱。
・ナツメ酒
材料/ナツメの乾燥果実300g、焼酎1升、氷砂糖100g
作り方/ナツメの乾燥果実をそのまま、もしくはいくつかに切って、氷砂糖とともに焼酎で漬け込む。3か月くらいねかせればできあがり。
おもな効用/虚弱体質、低血圧、冷え症、不眠症。

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飲み物がわかる辞典 「焼酎」の解説

しょうちゅう【焼酎】


日本の代表的な蒸留酒の一つ。麹のはたらきによって、米、麦、さつまいもなどでんぷん質の原料を糖化・発酵させたり、もしくは糖蜜など糖質の原料を発酵させてもろみをつくり、これを蒸留してつくる。さとうきびからできる糖蜜などを主原料とし、これに水と酵母を加えて発酵させたもろみを連続式蒸留機で蒸留してつくる焼酎甲類と、米、麦、さつまいも、黒糖などを主原料とし、蒸した米や麦で麹菌を培養してつくった麹に水と酵母を加えて発酵させて一次もろみとし、これに水と主原料を加えて糖化・発酵させた二次もろみを単式蒸留機で蒸留してつくる焼酎乙類がある。前者はくせがなくすっきりとした味わい、後者は主原料の風味を生かしたこくのある味わいのものとなり、この二つを混合(混和)したものもある。「本格焼酎」はほぼ焼酎乙類に同じ。焼酎甲類は果実酒や市販の缶チューハイなどのベースとしても用いられる。アルコール度数は20~45度で、25度がもっとも一般的。なお、タイ米を原料とし、黒麹を用いて発酵させた、焼酎乙類の製造で一次もろみにあたるものを単式蒸留機で蒸留してつくる沖縄特産の焼酎を「泡盛」という。

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百科事典マイペディア 「焼酎」の意味・わかりやすい解説

焼酎【しょうちゅう】

日本の代表的な蒸留酒。アルコール分20〜45%。伝統的なものにはかす(粕)取焼酎ともろみ取焼酎がある。もろみ取焼酎はこうじと水と焼酎酵母で一次もろみを作り,これに各種の原料を加えて二次もろみとし,発酵させて蒸留する。加える原料により,米焼酎,麦焼酎,芋焼酎,黒糖焼酎,そば焼酎などとなる。熊本県の球磨(くま)焼酎は蒸米,こうじともに玄米を用いる。沖縄県の泡盛は一次もろみをそのまま蒸留したものである。近年はサツマイモなどを原料とし連続蒸留機によって精留したアルコールを水で薄めて作った新式焼酎(ホワイトリカー)も広く出回っている。
→関連項目日本酒

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「焼酎」の意味・わかりやすい解説

焼酎
しょうちゅう

日本の代表的な蒸留酒。アルコール分は 20~45%で,酒税法 (昭和 28年法律6号) 上,甲,乙の2種類に分類されている。甲類はさつまいも,じゃがいも,とうもろこし,廃糖蜜などを原料に近代的な設備をもった大工場で生産されるもので,連続式蒸留機で精留されたアルコールを水で薄めて製品としたもの。大正時代以降に発展し,現在では市場に出回っている焼酎の大半が甲類である。乙類は日本在来の製法によるもので,代表的なものは,密封貯蔵してのち発酵させた清酒粕にもみ殻を混ぜたものを蒸籠 (せいろう) に広げ,水蒸気を通して酒粕のアルコール分を蒸留して造る粕取焼酎と,清酒を醸造するときのように醪 (もろみ) を発酵させ,それを蒸留して造る醪焼酎であるが,ほかにも麦焼酎 (壱岐) ,芋焼酎 (鹿児島,宮崎) ,泡盛 (沖縄) など地方によって特殊なものがある。乙類の焼酎にはそれぞれ独特な香りと風味があって,愛好者も多い。

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世界大百科事典(旧版)内の焼酎の言及

【酒造業】より

…酒造法(1953公布)で決められている酒類(アルコール分を1%以上含む飲料および溶かした場合アルコール1%以上となる粉末)を製造する産業。 1995年度の酒類の出荷量(課税移出量)をみると,清酒130万kl,焼酎(しようちゆう)68万kl,ビール698万kl,ウィスキーおよびブランデー18万kl,果実酒類17万kl,その他合成清酒,みりん,リキュールなどで,総出荷量は1000万klとなっている。 現在の産業構造の特徴としては,ビール,ウィスキーといった明治以降に日本で本格的に製造されるようになった洋酒類は,少数の大企業によって近代的な大工場で生産・販売がなされ,寡占化が進んでいるが,清酒,焼酎(とくに乙類)など江戸期以前からある酒類については,大企業もあるが多くは多数の小企業によって製造されていることである。…

※「焼酎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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