無翅類(読み)むしるい

精選版 日本国語大辞典 「無翅類」の意味・読み・例文・類語

むし‐るい【無翅類】

〘名〙 昆虫うち成虫になってもはねを持たず、幼虫と成虫の形にほとんど差のない原始的なものの総称地表から土壌の表層部に見られる。トビムシシミなどを含む。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「無翅類」の意味・わかりやすい解説

無翅類
むしるい
Apterygota; apterygote

無翅亜綱に属する昆虫の総称。有翅類に対するもので,下等な昆虫類と考えられる。無翅であるが,本来あったが退化したのではなく,翅の未発達な原始的な状態のまま今日にいたったものである。変態はせず,しても不明瞭なものが多い。顕著な特徴として,交尾器や尾角以外に腹脚の変形した器官をもつことがあげられる。トビムシ類カマアシムシ類コムシ類イシノミ類およびシミ類を含むが,シミ類を除きいずれも土壌表面や土壌中にすむ微小な類で,一般に目につきにくい。またこれら5類の間の違いは著しい。前3者の咀嚼口器外部から見えず (内顎類) ,一方,後2者はそれが外部から見え (外顎類) ,この点で大きく2つのグループを形成する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「無翅類」の意味・わかりやすい解説

無翅類
むしるい

昆虫綱無翅亜綱Apterygotaのこと。昆虫のうち、もともとはねがなく、幼虫と成虫の形がほとんど変わらない原始的な虫の総称である。広く世界各地に産するが、ほとんどのものが陰湿な環境を好み、多くは落ち葉ないし腐植土の中にすみ、石下洞穴内などにも発見され、ごく一部が日の当たる明るい場所にみられる。

 この類は4目に分類されるが、近年は、それぞれを有翅類と並ぶ亜綱に格上げして扱うことが多く、初めの3類を昆虫綱から分離して扱うこともある。(1)トビムシ類 腐植土や落ち葉の中に多く、キノコ樹上、洞穴にも少なくない。(2)原尾類 カマアシムシともいい、腐植土中に多い。体は微小である。(3)双尾類 ナガコムシハサミコムシの2群からなり、石下、土壌中にすみ、細長く、体長1センチメートル前後のものが多い。(4)総尾類 シミ、イシノミの2群があり、別の目とされることもある。落葉中、樹幹、岩や石の表面、家屋内などに発見される。

[中根猛彦]

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