デジタル大辞泉
「溝」の意味・読み・例文・類語
せせなぎ【▽溝】
《古くは「せせなき」》
1 「せせらぎ」に同じ。
「数罟の細密なるを以て―たなもとまで魚の小さいを捕るは」〈四河入海・一三〉
2 どぶ。下水。せせなげ。
「我が首討って溝―へも踏み込み」〈浄・関八州繋馬〉
うな‐て【▽溝】
田や畑に水を引くみぞ。
「神田に潤けむと欲して―を掘る」〈神功紀〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
みぞ【溝】
〘名〙
① 地を細長く掘って水を通す所。
※
書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓)「長
(とほ)く
渠水(ミソ)を穿
(ほ)りて」
② 戸・障子を通すために、
敷居・かもいに掘ったくぼんだ筋。また一般に、細長くくぼんだ
条線。〔五国対照兵語字書(1881)〕
※自然と人生(1900)〈
徳富蘆花〉自然に対する五分時「山面山腹の襞溝
(ミゾ)に生ひたる
の類は」
③ 鼻の下と上唇との間のくぼんだところ。
鼻溝(はなみぞ)。人中
(にんちゅう)。〔和英語林集成(
初版)(1867)〕
④ (比喩的に) 人と人の間にあるへだて。かかわり合う二つのものの間に生じた考え方や感情のへだたり。
※思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉三「
伯父は
彼等を俗物視し、彼等は伯父を少狂視して、其間自ら渉り難き溝があったのだ」
せせなぎ【溝】
〘名〙 (古くは「せせなき」か)
① どぶ。溝。下水。流し元の
小溝。せせなげ。〔観智院本名義抄(1241)〕
※俳諧・犬子集(1633)一七「白き物こそ黒くなりけれ せせなきに米かす水や捨ぬらん〈
貞徳〉」
※
塵芥(1510‐50頃)「
セセナキ、雪隠・東司」
せせなげ【溝】
※
本福寺跡書(1560頃)大宮参詣に道幸〈略〉夢相之事「かいだう・ほり・せせなげにたふれしぬるぞ」
※
滑稽本・浮世床(1813‐23)二「今の身は溝
(セセナゲ)に流れる米粒を食てゐれどナみさき烏が皆食て、おれが口へは這入
(はいら)ぬ
わいのウ」
うな‐て【溝】
〘名〙 (「うなで」とも) 田にひく
用水を通すみぞ。
※書紀(720)皇極二年八月(岩崎本訓)「
溝涜(ウナテ)の流
(みづ)、亦復凝結
(こほ)れり」
こう【溝】
〘名〙 ほりわり。ほり。みぞ。〔春秋左伝‐哀公九年〕
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報