江戸小紋(読み)エドコモン

デジタル大辞泉 「江戸小紋」の意味・読み・例文・類語

えど‐こもん【江戸小紋】

江戸時代武士かみしもに用いられた染め物。がらが非常に小さいにもかかわらず、遠目にはっきりと見える。1色染めが特色

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精選版 日本国語大辞典 「江戸小紋」の意味・読み・例文・類語

えど‐こもん【江戸小紋】

〘名〙 裃(かみしも)に用いられた型紙染めの小紋汎称
腕くらべ(1916‐17)〈永井荷風一八「瀬川一糸は江戸小紋の二枚重」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「江戸小紋」の意味・わかりやすい解説

江戸小紋
えどこもん

江戸小紋という名称は、1952年(昭和27)、当時の文化財保護委員会(現文化庁)が、東京に住んでいた小宮康助(こみやこうすけ)(1882―1961)の、江戸時代における裃(かみしも)小紋の伝統を踏まえた一色染めの細緻(さいち)で古格のある小紋を染める技術をとらえ、「助成措置を講ずべき無形文化財」に選定した際に一般の小紋染と区別して命名したものである。その後文化財保護法の改正に伴い、1955年2月、江戸小紋は国の重要無形文化財に指定され、小宮康助がその保持者と認定され、江戸小紋の名はさらに世に知られるところとなった。なお康助没後は、その息子康孝(やすたか)(1925―2017)、さらにその息子康正(やすまさ)(1956― )が後を継ぎ、認められて、重要無形文化財江戸小紋の保持者とされている。

[杉原信彦 2019年1月21日]

『杉原信彦著『染の型紙』(1968・京都国立博物館)』『東京国立近代美術館編『日本の型染――伝統と現在』『日本の型染』(1980・東京国立近代美術館)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「江戸小紋」の意味・わかりやすい解説

江戸小紋
えどこもん

細かい模様を白抜きし単色で染める日本型染の一つ。江戸時代の武士の (かみしも) に用いられて発達し,羽織,着尺などにも使用されるようになったが,明治以降,婦人着尺に細かい模様で多色型友禅が現れ,これも小紋と呼ぶようになったため,本来の小紋と区別する法として江戸小紋の名が使われた。この語は 1955年小宮康助 (1882~1961) を重要無形文化財保持者に認定するにあたり,文化財保護委員会が当用したもの。

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百科事典マイペディア 「江戸小紋」の意味・わかりやすい解説

江戸小紋【えどこもん】

和服の模様染の一種で,小紋のうち特に細かい模様を単色で染めたもの。友禅小紋などと区別するため,1955年文化財保護委員会により名づけられた。
→関連項目

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事典 日本の地域ブランド・名産品 「江戸小紋」の解説

江戸小紋[染織]
えどこもん

東北地方、福島県の地域ブランド。
須賀川市で製作されている。江戸小紋とは、江戸時代に完成された小紋を染める技法のこと。裃の定め文様を着物に写したことに始まる。須賀川で江戸小紋がつくられ始めたのは、およそ150年前。昔ながらの型を使った型彫りと型付けで、鮮やかに染められている。福島県伝統的工芸品。

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世界大百科事典(旧版)内の江戸小紋の言及

【小紋】より

…明治以後は女性の絹や麻の着尺に用いられている。近年,細かい柄の友禅染を広く小紋と呼ぶようになったので,伝統的技法を伝承する小紋染を江戸小紋といい,技術保持者の指定にその名称を用いたところから固有名詞化した。型紙は伊勢型(白子型)紙が紀州侯の庇護のもとに全国各地で売り出され,流行とともに鮫,霰,菊菱,小桜,青海波(せいがいは),立涌(たてわく),麻葉,鱗,子持縞,通しなど柄の種類が多くなった。…

※「江戸小紋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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