求肥(読み)ギュウヒ

デジタル大辞泉 「求肥」の意味・読み・例文・類語

ぎゅう‐ひ〔ギウ‐〕【求肥/牛皮】

肥飴あめ」の略。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「求肥」の意味・わかりやすい解説

求肥
ぎゅうひ

餅(もち)菓子の一種。求肥糖、求肥飴(あめ)ともいい、牛皮とも書く。白玉粉を蒸して白砂糖水飴を加え、加熱しながら半透明になるまで練り上げる。紅白のほか黒ごま、白ごまを入れた胡麻(ごま)求肥、ヨモギの葉を刻み込んだ草求肥、サンショウの汁を加えた練りざんしょう、わさび求肥などがある。しなやかで弾力があり、きめ細かく固くならないのが特徴である。搗(つ)き上げた餅のような舌ざわりが持続するので、種々の上菓子にも利用されてきた。求肥は室町時代には京都で用いられていた。甘味に黒糖を用いたので牛の皮の色合いとなり、牛皮とよばれたが、その文字を忌み、求肥の文字に変えられた。朝鮮飴の本来の名は長生飴で、加藤清正朝鮮出兵の際これを軍糧にあてたという。江戸で求肥がつくられたのは寛永(かんえい)年間(1624~44)で、京の菓子司中島浄雲製法を伝えた。今日の名物求肥菓子には、東京栄太楼(えいたろう)の玉だれ金沢市の千歳(ちとせ)、福井市羽二重(はぶたえ)餅、三重県亀山市の関乃戸、京都市の柚餅(ゆうもち)、きぬた、岡山市の吉備団子(きびだんご)、山口市舌鼓高松市の源平餅、宮崎市のつきいれ餅などがある。

[沢 史生]


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改訂新版 世界大百科事典 「求肥」の意味・わかりやすい解説

求肥 (ぎゅうひ)

和菓子の生地,あるいは,あめの一種。白玉粉または餅粉に,砂糖,水あめを加えて練りあげたもの。やわらかくて弾力があり,日もちがよく加工しやすいので,ひろく利用される。生地としての求肥は,白玉粉または餅粉1に対して砂糖2,水あめ1を配合するもので,鹿の子や調布などの芯にしたり,薄くのばしてあんを包んでまんじゅうにする。また,卵白,白あん,片栗粉を加えて雪平(せつぺい)にする。同じ材料の配合比を1対2対2にして水あめを多くしたものが求肥あめで,翁あめや朝鮮あめなどはこれである。牛のなめし革に似ているところからの名といい,はじめは牛皮,牛脾と書いていたが,のちに求肥の字があてられるようになった。《本朝世事談綺》によると,寛永年間(1624-44)にある大名が京都でこれを食べて感心し,中島浄雲という者を江戸へ招いてから,江戸でも行われるようになったという。
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百科事典マイペディア 「求肥」の意味・わかりやすい解説

求肥【ぎゅうひ】

和菓子の一種。白玉粉をこね,強火で蒸してなべにとり,弱火で砂糖と水あめを入れながら練り上げる。牛皮に似るところからの名称という。色をつけ蜜豆(みつまめ)に入れたり,餡(あん)を包んでうぐいす餅(もち)にしたりもする。
→関連項目練切り和菓子

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和・洋・中・エスニック 世界の料理がわかる辞典 「求肥」の解説

ぎゅうひ【求肥】

和菓子の一種。白玉粉や餅(もち)粉に砂糖や水あめを加えて練り上げた餅状のもの。粉に水を加えてこね、蒸したりゆでたりしてから砂糖や水あめを加える作り方もある。やわらかく弾力があり、時間がたってもかたくなりにくい。さまざまな和菓子の材料としても用いられる。◇古くは牛の皮に似ていることから「牛皮」と書いたが、肉食を忌避した仏教思想から、また不潔なイメージを嫌って、「求肥」と書くようになったとされる。「求肥餅」「求肥あめ」ともいう。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「求肥」の意味・わかりやすい解説

求肥
ぎゅうひ

白玉粉に砂糖と水飴を加えて煮つめながら練り上げた菓子。一般的な製法は白玉粉に水を加え,煮熟して十分に練り,半透明になったところで砂糖を少量加えて煮立てる。砂糖と水を順次加えて固くなってきたところで水飴を加えて十分練り合せる。最後に少量の卵白を加えると製品の色合いがよくなるといわれている。求肥飴,求肥団子など求肥を用いた応用菓子も多い。

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