正方晶系(読み)せいほうしょうけい(英語表記)tetragonal system

精選版 日本国語大辞典 「正方晶系」の意味・読み・例文・類語

せいほう‐しょうけい セイハウシャウケイ【正方晶系】

〘名〙 結晶系一つ。互いに直交する三本結晶軸中、二本は長さが等しく、他の一本は異なった長さをもつもの。〔鉱物字彙(1890)〕

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デジタル大辞泉 「正方晶系」の意味・読み・例文・類語

せいほう‐しょうけい〔セイハウシヤウケイ〕【正方晶系】

結晶系の一。互いに直交する3本の結晶軸うち、二軸の長さが等しく、上下軸だけ長さが異なるもの。黄銅鉱すずなどにみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「正方晶系」の意味・わかりやすい解説

正方晶系
せいほうしょうけい
tetragonal system

結晶系の一つ。単位格子は正方柱の形で、格子定数にはab≠c,αβγ=90゜の関係があり、8種の点群(晶族)4(C4),(S4),4/m(C4h),422(D4),4mm(C4v),2m(D2d),4/mmm(D4h)がこれに属し、これらの点群における4回回転軸4あるいは4回回反軸c軸に平行である。ブラベ格子には単純格子Pと体心格子Iがあり、底心格子Cおよび面心格子Fは、それぞれ半分の体積をもつ単純格子および体心格子に帰結される。底心格子ABは、4回対称軸をもちえないので、正方晶系にはありえない。鉱物中約9%が正方晶系に属する。この数字は三斜晶系に次いで小さい。

[岩本振武 2015年8月19日]


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化学辞典 第2版 「正方晶系」の解説

正方晶系
セイホウショウケイ
tetragonal system

結晶系の一種.単位格子が正方格子

(abc,α = β = γ = 90°)
で表されるもので,ブラベ格子としては単純正方格子または体心正方格子をとる.点群対称としては,ただ1本の4回回転軸または4回回反軸をもつものが全部正方晶系に含まれ,関係点群にはつぎの7種類ある.完面像

D4h = 4/mmm
四つの半面像

D2d2mC4v = 4mmD4 = 422,C4h = 4/m
二つの四半面像

S4C4 = 4.

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百科事典マイペディア 「正方晶系」の意味・わかりやすい解説

正方晶系【せいほうしょうけい】

結晶系の一つ。軸率1:1:cの直交座標系結晶軸)で記載される一群の結晶。物理的に異方性で,光学的一軸性。形態四角柱基本ジルコンルチル黄銅鉱がその例。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「正方晶系」の意味・わかりやすい解説

正方晶系
せいほうしょうけい
tetragonal system

結晶系の1つ。結晶軸は互いに直交し,軸角はα=β=γ=90゜である。結晶軸の長さは1軸 ( c 軸) のみ異なり,abc である。金紅石 (二酸化チタン) ,ADP (リン酸二水素アンモニウム) ,βスズなどがこれに属する。屈折率などの物理的性質は c 軸に平行か垂直かによって異なり,単軸結晶である。

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