早坂文雄(読み)ハヤサカフミオ

デジタル大辞泉 「早坂文雄」の意味・読み・例文・類語

はやさか‐ふみお〔‐ふみを〕【早坂文雄】

[1914~1955]作曲家。宮城の生まれ。独学で作曲を学ぶ。伊福部昭らと「新音楽連盟」を結成雅楽題材とした管弦楽曲古代舞曲」でワインガルトナー賞を受賞。「羅生門」「七人の侍」「雨月物語」など、映画音楽も数多く手がけた。

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百科事典マイペディア 「早坂文雄」の意味・わかりやすい解説

早坂文雄【はやさかふみお】

作曲家。仙台に生まれ,幼児期に札幌に転居。独学で作曲・ピアノを学び,同地で伊福部昭らと知り合う。フランス近代音楽やストラビンスキーの影響を受ける一方,雅楽や能楽東洋の芸術に関心を寄せ,《古代の舞曲》(1938年),《左方(さほう)の舞と右方(うほう)の舞》(1942年),《管弦楽のための変容》(1953年),遺作ユーカラ》(1955年)などのすぐれた管弦楽曲,4つの木管楽器とピアノのための《キャプリチオ》(1949年)などの室内楽曲を発表。武満徹ら第2次大戦後の若い世代に影響を与えた。1939年の東宝映画入社以来,映画音楽でも活躍し,《雨月物語》《七人の侍》をはじめ溝口健二黒澤明などの監督作品で傑出した仕事を残している。→チェレプニンワインガルトナー

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改訂新版 世界大百科事典 「早坂文雄」の意味・わかりやすい解説

早坂文雄 (はやさかふみお)
生没年:1914-55(大正3-昭和30)

作曲家。独学でピアノと作曲を学び,1934年に札幌で,作曲家伊福部昭(いふくべあきら)や評論家三浦淳史とともに〈新音楽連盟〉を結成し,反アカデミズムを主張してサティらの音楽に影響を受けた。雅楽に素材を求めたオーケストラ曲《古代の舞曲》(1938)で,ワインガルトナー賞を獲得し,以後東京に居を移し,東洋的な時間と空間の感覚を生かした〈汎東洋主義〉という作風を掲げて,《左方の舞と右方の舞》(1942)などの作品を発表。第2次大戦後は,清瀬保二,松平頼則らと〈新作曲派協会〉を結成し,民族主義的な交響組曲《ユーカラ》(1955)で注目された。《羅生門》(1950),《雨月物語》(1953)など映画音楽にも大きな功績を残し,また〈汎東洋主義〉の思想様式は,武満徹らの新しい世代の作曲家に影響を与えた。主著《日本的音楽論》(1942)。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「早坂文雄」の意味・わかりやすい解説

早坂文雄
はやさかふみお
(1914―1955)

作曲家。仙台生まれ。幼時札幌に移り、独学で作曲、ピアノを学ぶ。1932年(昭和7)北海中学校卒業。1934年伊福部昭(いふくべあきら)らと「新音楽連盟」を結成。早くから日本、東洋の伝統的諸芸術に関心をもち、当時西洋を志向していた中央の楽壇から離れ、「汎東洋主義(パン・エイシアニズム)」の考えから独自の作風を展開していった。主要作品に、雅楽を題材とした管弦楽曲『古代の舞曲』(1937)と『左方の舞と右方の舞』(1942)、遺作の交響的組曲『ユーカラ』(1955)など。また映画音楽の分野でも活躍し、黒澤明監督の『羅生門(らしょうもん)』『七人の侍』、溝口健二監督の『雨月物語(うげつものがたり)』『山椒大夫(さんしょうだゆう)』など多くの名作を残した。「汎東洋主義」の音楽思想は武満徹(たけみつとおる)らの新しい世代の作曲家に大きな影響を与えた。

[船山 隆]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「早坂文雄」の解説

早坂文雄 はやさか-ふみお

1914-1955 昭和時代の作曲家。
大正3年8月19日生まれ。独学で作曲,ピアノをまなぶ。昭和13年管弦楽曲「古代の舞曲」でみとめられる。汎(はん)東洋主義をとなえ,独自の作風をつくりだす。「羅生門」「七人の侍」などの映画音楽ものこした。昭和30年10月15日死去。41歳。宮城県出身。北海中学卒。作品に交響的組曲「ユーカラ」など。

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世界大百科事典(旧版)内の早坂文雄の言及

【言語遊戯】より

…〈彼は鼻と唇をかんだ〉などというのは誤用だろうが,〈スカートとスピーチは短いほどいい〉というふうにうまく決まっている場合は,修辞的な遊戯といえる。(13)早口言葉 〈舌もじり〉ともいう。〈生麦生米生卵〉〈坊主が屛風に上手に坊主の絵をかいた〉など。…

※「早坂文雄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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