日EU経済連携協定(読み)ニチイーユーケイザイレンケイキョウテイ

デジタル大辞泉 「日EU経済連携協定」の意味・読み・例文・類語

にちイーユー‐けいざいれんけいきょうてい〔‐ケイザイレンケイケフテイ〕【日EU経済連携協定】

日本欧州連合EU)の間で締結された経済連携協定。2019年2月発効。貿易品目のほとんどで関税撤廃されるほかサービス貿易投資電子商取引など幅広い分野で相手国企業が不利になる規制緩和・撤廃され、共通ルールが策定された。日欧経済連携協定日欧EPA。日EU・EPA

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知恵蔵 「日EU経済連携協定」の解説

日EU経済連携協定

日本とEU(欧州連合)との間で合意された経済連携協定。米トランプ政権の誕生で保護主義の動きが高まる中、2017年7月に開かれた日欧の首脳会談で大枠合意に達した。予定通り19年初頭に発効すれば、世界のGDP(国内総生産)の3割を超える巨大な経済圏が誕生することになる。
EUから日本への輸出品の関税については、最大の焦点だったチーズ(現行は原則29.8%)が今後15年で段階的に撤廃され、ワイン(15%または1リットル125円)は発効後に即時撤廃される見通し。パスタやチョコレートなどは10年、豚肉は段階的に10年、皮革製品も10年または15年で撤廃される予定。チーズや豚肉などは、輸入総額に占める割合は小さいものの、関税撤廃による国内の酪農・畜産業に与える影響は大きく、生産農家への打撃が心配されている。一方、日本からEUへの輸出品の関税については、最大の輸出品目である自動車(現行10%)が7年で撤廃、自動車部品(現行3~4.5%)は約9割が即時撤廃される見通し。テレビは5年後に撤廃、日本酒、緑茶調味料(しょうゆ)、青果物、肉類乳製品などは即時撤廃される。
EPA(経済連携協定)の交渉対象は、FTA(自由貿易協定)よりも幅広く、貿易分野に加えて、金融・投資や情報通信、さらに特許、商標、GI(地理的表示)などの知的財産も含まれる。今回の合意によって、チーズでは普通名詞ではないゴルゴンゾーラ(イタリア)やフェタ(ギリシャ)などは、「○○風ゴルゴンゾーラ」といった名称でも許されず、現地の産品にしか使用できなくなる。
なお現時点(17年8月末)では、日欧の首脳が「大枠合意」に至ったに過ぎない。今後、国会と欧州議会の合意、さらにEU加盟国(現在28か国)の承認が必要で、発効までには、さまざまな曲折が予想されている。

(大迫秀樹 フリー編集者/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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