日本伝助(読み)にほん・でんすけ

朝日日本歴史人物事典 「日本伝助」の解説

日本伝助

生年生没年不詳
初期歌舞伎の名優,振付師別名歌舞伎伝助。のち竹島天竺左衛門と称したので竹島系の祖に当たる。子に元禄期の名優竹島幸左衛門,道外形役者の竹島兵八がある。河原崎権之助の著『舞曲扇林』(1689頃)には,女歌舞伎の一座である佐渡嶋座のお郡小太夫が結婚を機に引退するというので,遊女のときから身につけた小舞十二番(初期歌舞伎の女形の舞の基本)を書いて同座に属した角助という人物に遣わし,角助はそれを大坂の狂言師伝助に伝えたところから「小舞十六番」ができたという話が載っている。活躍期が初期歌舞伎のころであるため資料が乏しく不明の点が多いので,今後の研究が待たれる。<参考文献>守随憲治校訂『舞曲扇林・戯財録』(岩波文庫)

(北川博子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「日本伝助」の解説

日本伝助 にほん-でんすけ

?-? 江戸時代前期の歌舞伎役者,振付師。
初代竹島幸左衛門の父。歌舞伎創始期に京都で活躍し,立役(たちやく)で知られる。大坂にうつってからは振り付けを専業とし,後世拍子舞始祖とされた。弟子右近源左衛門がいる。後名は竹島天竺左衛門。別名に歌舞伎伝助,大和屋伝助,大倭(やまと)伝助。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の日本伝助の言及

【拍子舞】より

…初期歌舞伎における拍子舞は,《舞曲扇林》に〈拍子舞の始りは右にいふ竹嶋幸左衛門親日本伝介也。それより小舞太郎兵衛,松本市郎兵衛,小舞庄左衛門也〉とあるように,女歌舞伎時代に猿若の名人と称された日本伝助を始祖に擬している。この伝承を見ても,拍子舞が,狂言師によってもたらされた〈小舞〉と深い関係を持ちながらも,それとは別の芸態のものであったことが知られる。…

※「日本伝助」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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