手張(読み)てばり

精選版 日本国語大辞典 「手張」の意味・読み・例文・類語

て‐ばり【手張】

〘名〙
① 手ずから張ること。自身でものを張ること。
※虎明本狂言・秀句傘(室町末‐近世初)「是は某がてばりに致て、事の外念を入て仕ったからかさでござる程に」
② 取引所会員または取引員が自分思惑相場を張ること。〔現代新語辞典(1919)〕
賭博(とばく)で、勝負のきまった後に金銭を出すことを条件としてその金額を手で示したり、口頭で言ったりしてばくちをすること。また、胴元などが手ずから張ること。
④ 実力以上に見えを張ること。
洒落本・浪花色八卦(1757)桔梗卦「爰にても手ばりの奢り強く」

てっ‐ぱ・る【手張】

〘自ラ四〙
① 対抗する。手向かう。
浄瑠璃妹背山婦女庭訓(1771)四「てっぱって見ようと思はれた」
② 手に余る。自分の力に過ぎる。てばる。
暗夜行路(1921‐37)〈志賀直哉〉四「それに他の関係も多く、其辺言葉でいふ『てっぱる』場合がよくあり」

て‐ば・る【手張】

〘自ラ四〙 自分の処理能力を超える。自分の力に過ぎる。手にあまる。荷が重すぎる。
※雑俳・川柳評万句合‐明和八(1771)宮三「斎日にけころは少し手はるなり」
歌舞伎東京日新聞(1873)中幕湯元までは爰から五里半、余程道が手張(テバ)りますから」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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