幻日(読み)げんじつ

精選版 日本国語大辞典 「幻日」の意味・読み・例文・類語

げん‐じつ【幻日】

〘名〙 巻層雲などが空にかかっているとき、太陽両側視距離約二二度の点に現われる薄明色の太陽に似た光像。雲を構成する氷晶が太陽の光を反射屈折させて起こる暈(かさ)一種。→幻月

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デジタル大辞泉 「幻日」の意味・読み・例文・類語

げん‐じつ【幻日】

太陽の両側に1個ずつ見える太陽のような像。雲の氷晶が光を屈折させてできるかさの一種で、太陽が高くなるにつれて太陽の本像から離れていく。→幻月

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「幻日」の意味・わかりやすい解説

幻日
げんじつ

太陽と同じ高度で、太陽から約22度離れたところに現れる多少赤みがかった光の玉。外側に尾を引いているのが見られる。これは上空に浮かぶ氷晶(巻層雲)によって太陽光(または月光)が反射されてできるもので、内暈(うちかさ)といっしょに現れる。太陽が水平線近くにあるときには内暈とほぼくっついているが、太陽が高くなるにつれて離れ、30度になると内暈から約3度外側へ離れる。太陽と同じ高さに水平な白い光の輪ができることがある。これは幻日円というが、幻日はこの円の上に現れる。幻日円上で太陽から120度離れた方向に幻日が現れることがある。これを「120度幻日」という。太陽の反対側すなわち180度離れた方向に現れることもまれにある。これは「反対幻日」という。

[大田正次]


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百科事典マイペディア 「幻日」の意味・わかりやすい解説

幻日【げんじつ】

白色または赤みがかった薄い色で太陽に似て見える輝いた点。氷晶からなる薄い雲が太陽光を反射・屈折して起こり,(かさ)と同様な気象光学的現象。太陽と同じ高度で太陽の両側に現れ,太陽からの視距離は22°〜32°。普通1対であるが,もっと多く現れることもある。月の場合を幻月という。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「幻日」の意味・わかりやすい解説

幻日
げんじつ
parhelion; mock sun

上層の雲があるとき,太陽の両側に見られる明るい光の塊。色は白色で,ときには色のついていることもある。地平線上での角度は太陽から 22°離れている。太陽高度の低いときに現れ,太陽高度が 61°以上では現れない。大気中の氷晶により,太陽光線が屈折してできる現象。(→幻月

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世界大百科事典(旧版)内の幻日の言及

【暈】より

… 太陽でできるのを〈日の暈〉,月でできるのを〈月の暈〉と呼んでいる。暈の現象はいろいろな現れ方をするが,出現する頻度の最も多いのは〈内暈〉で,次に〈幻日(げんじつ)mock suns〉〈上端接弧〉〈天頂弧circumzenithal arc〉〈太陽柱(光柱)sun pillar〉〈外暈〉〈幻日環parhelic circle〉の順である。東京の長年の観測結果では,1年間に日の暈の見えた回数は平均約57回になっているから,そんなに珍しい現象ではない。…

※「幻日」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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