(読み)せき

精選版 日本国語大辞典 「席」の意味・読み・例文・類語

せき【席】

[1] 〘名〙
① 草や竹などで編んだ敷物。むしろ。ござ
史記抄(1477)三「布茲とは、茲は席ぞ。あらこもをしくと云ふやうな心ぞ」
※浮世草子・近代艷隠者(1686)三「ささへに席(セキ)を付て、男女老少あらそひこぞり、桜が下に座の儲(もふけ)して遊ぶに」 〔詩経‐大雅・行葦〕
② すわる場所。きめられてすわるところ。座席
※名語記(1275)六「船の内に所のあるをせきとなづく」 〔礼記‐内則〕
③ 会や式などの行なわれる場所。会場。座敷
江談抄(1111頃)四「亭子院詩席。江納言必為講師
※太平記(14C後)一「会合の日毎に、席(セキ)に臨で玄を談じ理を折」
寄席(よせ)講釈場。
※人情本・春色籬の梅(1838‐40頃)六「其翌日は鳥雅一人軍談の席(セキ)へ行とて」
遊女芸者をかかえている家。
余地。余裕。すき
洒落本・蛇蛻青大通(1782)「又席(セキ)狭き遍鋌(へんてこ)が傾城に誠なしと」
※土(1910)〈長塚節〉一九「俺ら何も不服いふ席はねえな」
[2] 〘接尾〙
① 回数を表わすのに用いる。
※歌舞伎・因幡小僧雨夜噺(1887)二幕「囲碁集会ありしゆゑ、われも招かれ一二席(セキ)手合せいたして」
順位を表わすのに用いる。
※洒落本・北廓鶏卵方(1794)目録「第一席、ぬれてあふ夜の新枕

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デジタル大辞泉 「席」の意味・読み・例文・類語

せき【席】

[名]
座る場所。また、きめられた座り場所。「に着く」「をきめる」
地位身分。「重役をねらう」
集まりなどの行われる場所。「酒の」「話し合いのを設ける」
寄席よせ席亭
「主に講釈ばかり掛かる広小路の―へは」〈鴎外
草や竹を編んでつくる敷物。むしろ。ござ。
「ささへに―を付けて」〈浮・近代艶隠者〉
[接尾]助数詞。順位を表すのに用いる。「第一
[類語](1座席場席ばせき空席客席定席じょうせき座所居所シート/(2順位椅子いすポスト地位ポジション肩書き役職役付き階級身分位置/(4席亭寄席

せき【席】[漢字項目]

[音]セキ(漢) [訓]むしろ
学習漢字]4年
むしろなどの敷物。「席巻せっけん枕席
すわる場所。「議席客席空席座席上席着席末席隣席
会合などの場。会場。「席上宴席会席酒席出席即席茶席同席陪席臨席列席
地位。序列。順位。「席次次席主席首席
寄席よせ。「席亭昼席ひるせき
[名のり]すけ・のぶ・やす・より
難読寄席よせ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【寄席】より

…〈よせ〉というのは,もとは〈寄せ場〉の略語であり,〈人を寄せる〉という意味である。大勢の人を寄せて,さまざまな演芸を興行するところで,〈寄席〉の字を当てているが,単に〈席(せき)〉と呼ぶこともある。
[江戸の寄席]
 寄席は,江戸時代の初めごろに,寺社の境内などで葭簀(よしず)張りの辻咄(つじばなし)や講釈を行ったものがあり,天和・貞享(1681‐88)のころには,江戸落語の祖といわれる鹿野(しかの)武左衛門(1649‐99)が,江戸の中橋広小路で葭簀張りの小屋掛けで興行をしているし,また安永・天明(1772‐89)のころから噺家(はなしか)の自宅や寺院,茶屋の座敷などで〈咄(はなし)の会〉を興行するものもあったが,現在の寄席のような形ができたのは,1798年(寛政10)6月に大坂から江戸に来た岡本万作が,神田豊島町藁店(わらだな)に〈頓作軽口噺(とんさくかるくちばなし)〉という看板を掲げ常設の寄席を作ったのが最初である。…

※「席」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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