川霧(読み)かわぎり

精選版 日本国語大辞典 「川霧」の意味・読み・例文・類語

かわ‐ぎり かは‥【川霧】

〘名〙 川の上やほとりに立ちこめる霧。《季・秋》
万葉(8C後)一〇・二〇三〇「秋されば川霧(かはぎり)立てる天の川河に向き居て恋ふる夜そ多き」
源氏(1001‐14頃)東屋うちながめて寄りゐ給へる袖の、重なりながら長やかに出でたりけるが川きりにぬれて」

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デジタル大辞泉 「川霧」の意味・読み・例文・類語

かわ‐ぎり〔かは‐〕【川霧】

川に立ち込める霧。 秋》

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「川霧」の意味・わかりやすい解説

川霧
かわぎり

川面やその周辺にできる霧。蒸気霧一種気温が0℃前後以下と低いとき、および川の水温が高く、気温と水温との温度差がおよそ8℃以上になるときに発生する。このようなときには川の周辺の地面上に放射霧もできやすく、両者が混じって濃い霧となることが多い。熊本県人吉(ひとよし)や兵庫県豊岡(とよおか)の川霧はよく知られている。

[大田正次]

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百科事典マイペディア 「川霧」の意味・わかりやすい解説

川霧【かわぎり】

川の水面付近に発生する霧。水温が気温より高い場合に生ずる蒸気霧の一種。夜間放射冷却で気温が低くなった空気が,弱い風で水面付近に運ばれると,水温が高いため水面から盛んに蒸発する水蒸気が冷却し,再び凝結して霧粒となる。上空逆転層が存在するとき生じやすい。
→関連項目

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世界大百科事典(旧版)内の川霧の言及

【霧】より

…寒流の冷たい海面上を南からの暖かく湿った空気が吹走する間に下から冷やされて生じた海霧は北海道南東部に上陸し,このため同地域はしばしば厚さ数百mの濃い霧に包まれる。(2)発生する場所による分類 (a)川霧 川の上や川の近くに発生する霧で,川の水面からの蒸気霧である。(b)山霧 一般には滑昇霧だが,山にかかる雲も,その中に入れば山霧である。…

※「川霧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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