導体(読み)ドウタイ

デジタル大辞泉 「導体」の意味・読み・例文・類語

どう‐たい〔ダウ‐〕【導体】

熱や電気を比較的よく通す物質金属など。伝導体
[類語]不導体良導体絶縁体

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精選版 日本国語大辞典 「導体」の意味・読み・例文・類語

どう‐たい ダウ‥【導体】

〘名〙 (geleider conducteur の訳語) 電気および熱をよく通す物質。普通は金属で、銀・銅・アルミニウム・鉄など。導電体。
気海観瀾広義(1851‐58)一一「殊に金属・水・水蒸気、動物体等は、前法を以てすれども越歴を発せず。幾久しく摩擦するも、更にこれを起すことなし。故にこれを導体〈略〉と名づく」
[語誌]挙例の「気海観瀾広義」で「導体」、「導子」と訳されたのが最初。同書には「導体と不導体は正しく区別し難し」とも見え、「不導体」も用いられた。現在は、「導体」を「良導体」、「不導体」を「不良導体」ともいう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「導体」の意味・わかりやすい解説

導体
どうたい

静電気において金属など電気を通す物体の総称。普通、金属物体と考えてよい。導体を電界(電場)の中に置くと、導体上の電荷は電界から力を受けて移動を始める。この移動によって外の電界も変化する。この移動は、導体全体が等電位になるまで続く。導体の静電気的性質は、(1)導体はつねに等電位でその内部には電界は存在しない、(2)電荷は導体表面にのみ分布してその内部には存在しない、である。適当な形をした導体または導体系は電極として用いられる。これに適当な電位を与えることによって導体の周りの空間に必要とする性質をもつ電界をつくりだす。静電遮蔽(しゃへい)は導体の重要な応用例である。導体または導体系に電荷を与えると、導体の電位は導体に与えた電気量に比例して変化する。比例定数は導体の電位係数といい、導体の幾何学的形状のみで定まる。コンデンサーは二つの電極をもつ導体系で、各導体にQおよび-Qの電気量を与える場合である。電気量Qは電極間電圧Vに比例し、その比例定数をコンデンサーの電気容量という(QCV)。

[山口重雄]

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百科事典マイペディア 「導体」の意味・わかりやすい解説

導体【どうたい】

(1)電気を導きやすい物質。金属や合金が代表例で,電気伝導率105〜106Ω(-/)1cm(-/)1(抵抗率10(-/)6〜10(-/)5Ω・cm)程度。絶縁体の対語。中間が半導体,電気伝導率が0の物質を超伝導体という。(2)熱を導きやすい物質。熱伝導率0.1〜1cal・cm(-/)1sec(-/)1・deg(-/)1程度。やはり金属や合金が代表例で,これは金属内の自由電子が熱と電気の両方を運ぶからであり,金属の熱伝導率と電気伝導率の比は同一温度においては金属の種類によらずに一定である(ウィーデマン=フランツの法則)。
→関連項目不導体連続体(物理)

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化学辞典 第2版 「導体」の解説

導体
ドウタイ
conductor

電気伝導率の大きな物質のこと.実用的には通電の目的で使用される導電材料をさす.通常は適当な強度をもち,耐食性もよく,価格も安い銅が多量に使用されている.銅の電気伝導率は銀につぎ,その比抵抗値は20 ℃ で1.6730 μΩ cm である.アルミニウムの比抵抗値は20 ℃ で2.6548 μΩ cm であるが,比重が銅の約1/3であり,価格の点からも,導電材料としての使用量が増大している.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「導体」の意味・わかりやすい解説

導体
どうたい
conductor

電気伝導率または熱伝導率の大きな物質。伝導体,良導体ともいう。典型的なものは金属である。金属ではその中を自由に動ける電子が電気および熱の伝導の媒体として主要な役割を果す。電気伝導率の大きい物質ほど熱伝導率も大きく,同一温度においては金属によらずその比が一定であることが知られている。電気的には導体と不導体 (絶縁体) の間では伝導率に著しい差があり,その間に比較的少数の半導体と呼ばれる物質がある。

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世界大百科事典(旧版)内の導体の言及

【電気】より

…固有の研究領域としての電気学が成立したのは18世紀であるが,17世紀の間にO.vonゲーリケによって発明された摩擦起電機は,その後の電気研究を著しく進展させた。18世紀に入って第1の発見は,電気の導体の発見である。1729年イギリスのグレーStephen Gray(1666‐1736)は,摩擦された物体の軽い物を引きつける能力が,麻糸や金属を通して他の物体に伝えられることを見いだした。…

【電気伝導】より

…室温での電気伝導度の大きさは,銅やアルミニウムなどの金属では105~106Ω-1・cm-1にも達するのに,ガラス,岩塩などでは10-15~10-17Ω-1・cm-1程度できわめて小さい。一般に電気伝導度の大きい物質を導体conductorといい,反対にきわめて小さいものを絶縁体insulatorと呼んでいる(導体,絶縁体の概念は熱伝導度についても用いられる)。ゲルマニウム,シリコンなどの半導体の電気伝導度は,不純物濃度によって一定しないが,おおよそ導体と半導体の中間の103~10-3Ω-1・cm-1程度の値をとる。…

※「導体」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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