家風(読み)カフウ

デジタル大辞泉 「家風」の意味・読み・例文・類語

か‐ふう【家風】

その家に特有の気風・習慣。その家の流儀や作法など。「家風に合わない」
[類語]さが気性気質性向性情性格気象気立て気前心ばえ心根心柄じょうたち性分性質本性本能天性気心気風人となり人間性キャラクター気質かたぎ肌合い精神

いえ‐かぜ〔いへ‐〕【家風】

わが家のほうから吹いてくる風。
「―は日に日に吹けど我妹子わぎもこ家言いへごと持ちて来る人もなし」〈・四三五三〉
家の風」に同じ。
「その芸を試み給ふに、―落とさず優美なりければ」〈続古事談・五〉

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精選版 日本国語大辞典 「家風」の意味・読み・例文・類語

か‐ふう【家風】

〘名〙
① ある家に特有の習慣やおきて。その家に伝わる流儀。
菅家文草(900頃)一・停習弾琴「知音皆道空消日、豈若家風便一レ詩」
※家(1910‐11)〈島崎藤村〉下「旧い小泉の家風を思はせるやうに」
仏教で、宗派の独特な教義。特に、禅宗各派の独特の教えや気風。門風。
※正法眼蔵(1231‐53)弁道話「予かさねて大宋国におもむき、知識を両浙にとぶらひ、家風を五門にきく」
③ 家の作りよう。家の有様。〔庭訓往来(1394‐1428頃)〕

いえ‐かぜ いへ‥【家風】

〘名〙
自分の家の方から吹いて来る風。
万葉(8C後)二〇・四三五三「伊倍加是(イヘカゼ)は日に日に吹けど我妹子(わぎもこ)家言(いへごと)持ちてくる人も無し」
② (「かふう」の訓読み) 家の伝統。家の風。また、家の威風
浮世草子武家義理物語(1688)三「隼人(はやと)が家風(イヘかぜ)をふかせける」

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改訂新版 世界大百科事典 「家風」の意味・わかりやすい解説

家風 (かふう)

それぞれの家に世代を超えて受け継がれてきた独自な生活慣習や気風。同じ家の成員はその共有する家風を肯定してそれを誇りとし,婚入や養子入りした新来者に対し,家風への同化を期待した。家風を再組織する必要を感じた中興の祖と呼ばれる家長が家憲,家訓の類を成文化することもあった。しかし,そのような場合さえ,家風は決して固定したもの,また,固定しうるものでもなく,新夫婦が老夫婦と交替するとおのずから新たな家風への展開がみられるのが現実の歴史であった。それゆえ,家風の連続性とは,家長夫婦の世代ごとにみられた変遷前提として,しかもなおその間に世代を超えて存在する変化のなかでの共通性を見いだして,他家に対して自家の家風の連続性を自覚するものにほかならない。家風をしいて固定しようとして老夫婦が若夫婦に自分たちの生活のしかたを無理じいした場合,つねに破綻が生じ,家の永続と繁栄という至高目的は失われるのが事実であった。
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普及版 字通 「家風」の読み・字形・画数・意味

【家風】かふう

家のしきたり。北周・信〔哀江南の賦の序〕潘岳の、始めに家風をべ、陸の辭賦、先づ世を陳(の)ぶ。

字通「家」の項目を見る

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「家風」の意味・わかりやすい解説

家風
かふう

それぞれの家族の生活の歴史に根ざした生活様式,生活態度。家祖,家長の出身地,職業,社会的階層,教養などから形成される生活慣習が自然に積重なって,日常生活の些細な習慣から,一般に生活態度に関しての特色をなすにいたったもの。家長中心で家の継続が重視されるときには,単なる生活慣習にとどまらず,家族の生活を律するものとなり,家族に対して倫理的な掟を形成するようにもなる。このような家風の重視は,近世の武家や,上層階級の市民に意識されたものであるが,近代にいたって,家庭生活そのものが家族構成員の共同生活の場としての傾向を強めるに従って,束縛的な家風は消失しつつある。

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