子夜(読み)シヤ

デジタル大辞泉 「子夜」の意味・読み・例文・類語

し‐や【子夜】

の刻。夜の12時。真夜中

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「子夜」の意味・読み・例文・類語

し‐や【子夜】

[1] 〘名〙 子(ね)の刻。現在の夜の一二時頃。また、午後一一時頃から午前一時頃まで。まよなか。夜九つ。
※本朝文粋(1060頃)一三・村上天皇御筆法華経供養問者表白〈兼明親王〉「子夜未至、胸中之月先明」
[2] 中国の現代長編小説。三巻。茅盾作。一九三二年成立、翌年刊。外国資本の圧迫労働者階級攻勢によって没落していく民族資本家を中心に、当時の諸階層の人間関係、社会構造がリアルに描出され、新文学運動が始まって以来の最大傑作とされる。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「子夜」の意味・わかりやすい解説

子夜
しや

中国の作家茅盾(ぼうじゅん/マオトウ)の長編小説。1931年10月より32年12月執筆。この間一部を雑誌に掲載。33年開明書店刊。1930年5月から7月までの上海(シャンハイ)を舞台に、製紙工場を経営する民族資本家呉蓀甫(ごそんぽ)の、金融市場と企業経営の場における対立抗争を軸として、主要登場人物の家族、親戚(しんせき)、友人のさまざまな動きや当時の近郊農村の状況を織り込んだ壮大な構成をもつ一大ロマン。主要登場人物だけでも50名に上る。中国近代小説における最高の達成であり、30年代左翼文壇、また茅盾自身の創作生活においてきわめて大きな意義をもつ。子夜とは夜の子(ね)の刻(午後11時から午前1時)の意。なお、初版本の扉に印刷された副題The Twilight : a Romance of China in 1930のTwilightを薄明とみるか薄暮とみるか、作品の解釈をめぐって諸説がある。

[白水紀子]

『竹内好訳『子夜』(『筑摩世界文学大系78 魯迅・茅盾』所収・1974・筑摩書房)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

普及版 字通 「子夜」の読み・字形・画数・意味

【子夜】しや

子(ね)の刻、午後十二時。夜更け。唐・李商隠曲江〕詩 斷す、輦の(よぎ)りしを しく聞く、子夜に鬼の悲歌するを

字通「子」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android