好酸球(読み)こうさんきゅう

精選版 日本国語大辞典 「好酸球」の意味・読み・例文・類語

こうさん‐きゅう カウサンキウ【好酸球】

〘名〙 白血球一つ。細胞内の顆粒酸性色素に染まる。アレルギー性疾患、寄生虫疾患などの際増える。好酸性白血球。〔からだの手帖(1965)〕

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デジタル大辞泉 「好酸球」の意味・読み・例文・類語

こうさん‐きゅう〔カウサンキウ〕【好酸球】

白血球の一。細胞内にある顆粒かりゅうが酸性色素に赤く染まるもの。アレルギー性疾患や寄生虫症などの際には増加する。好酸性白血球。

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内科学 第10版 「好酸球」の解説

好酸球(アレルギーに関与する細胞・分子)

(3)好酸球
 好酸球はアレルギー疾患だけでなく,寄生虫感染,好酸球増加症候群などにおいて血中および局所に増加する.細胞質の顆粒中にはMBP,ECP,EPO,EDNなどが含まれ,これら酵素の組織傷害作用を通じて,寄生虫に対しては排除,喘息においては気道炎症増悪に関与する.刺激を受けた好酸球においては,顆粒内容のほかに,LTC4・PGE2・lipoxin・PAFといった脂質メディエーターや,IL-4・IL-13・TGF-βなどのサイトカイン,CCL5(RANTES)・CCL11(eotaxin)などのケモカイン,活性酸素を放出する.Charcot-Leyden結晶(Charcot-Leyden crystal)は,炎症組織に集簇した好酸球から放出されて組織内で析出した針状の結晶を指す.
 好酸球の分化・増殖に特に重要なサイトカインはIL-5であるが,この作用を抑える生物製剤抗IL-5抗体メポリズマブは大方の期待に反して,喘息患者に対して劇的効果を発揮しなかった.しかし,経口ステロイドを含む喘息治療を行っても痰中に多数の好酸球が残存し好酸球が病態にかかわり続けていると考えられる患者に絞った検討では,抗IL-5抗体による喘息改善効果がみられている.
 IL-5を標的とする喘息治療が顕著な効果を発揮しなかった理由として,複数の要因が想定されている.1つは,抗体の作用の限界であり,気道粘膜および喀痰の好酸球を完全に消滅させるほどの力価をもたなかった.ほかの要因として,IL-5は,同じく血液細胞増殖因子であるIL-3,GM-CSFとは受容体βサブユニットを共有しており,これらの受容体を発現する好酸球においては,サイトカイン間の作用重複(redundancy)が抗サイトカイン療法の効果を阻んでいる可能性がある.同じことがIgE産生にかかわるTh2サイトカインIL-4,IL-13の間にも当てはまり,1つのサイトカインだけを標的とするアレルギー疾患治療戦略が著効をあげにくい背景になっていると考えられる.[山口正雄]
■文献
Barnes PJ: New therapies for asthma: is there any progress? Trends Pharmacol Sci, 31: 335-343, 2010.
Hsu FI, Boyce JA: Biology of mast cells and their mediators. In: Allergy: Principles and Practice, 7th ed (Adkinson NF Jr, Bochner BS, et al eds), pp311-328, Mosby, Philadelphia, 2009.
羅 智靖:マスト細胞:感染防御の最前線からアレルギーまで.アレルギー病学(山本一彦編),p55-63,朝倉書店,2002.

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栄養・生化学辞典 「好酸球」の解説

好酸球

 エオシンなど塩基性色素によく染まる白血球の一種.アレルギー疾患などの場合に増加する.

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世界大百科事典(旧版)内の好酸球の言及

【血球】より

赤血球(2)白血球 白血球と総称されるものは,大きさ,核の特徴,細胞質の顆粒などから5種類に分類される。まず,顆粒をもった白血球が最も多く,顆粒の染色性から,淡紫紅色の顆粒(中性の色調)を有するものを好中球,粒状の橙色(酸性)顆粒を有するものを好酸球,濃い青紫色で粗大な顆粒をもった血球を好塩基球という。この3種の白血球は,共通して顆粒を有することから顆粒球と総称される。…

【白血球】より

…骨髄で生産され,体内に侵入した病原微生物や異物を貪食する。好中球,好酸球,好塩基球の3種がある。 好中球はエオジン‐メチレンブルー染色で顆粒が中間的な淡桃~淡紫赤色に染まることから名づけられた。…

※「好酸球」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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