太陽社(読み)たいようしゃ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「太陽社」の意味・わかりやすい解説

太陽社
たいようしゃ

中国の文学団体。1927年クーデター直前の武漢で、国民党系青年たちの立身出世主義に反発し、革命文学を鼓吹するために、蒋光慈(しょうこうじ)、銭杏邨(せんきょうそん)、楊(よう)邨人、孟超(もうちょう)によって結成が準備され、28年1月『太陽月刊』を創刊。蒋の革命文学論をめぐって創造社と論争を展開、そのなかで洪霊菲(こうれいひ)、戴平万(たいへいまん)、林伯修、沈端先、祝秀侠(しゅくしゅうきょう)、徐殷夫(じょいんふ)らが加わった。ついで銭が『死んでしまった阿Q時代』を書き魯迅(ろじん)と、さらに茅盾(ぼうじゅん)とも激しく論争を展開。『太陽月刊』は同年7月号で停刊、『海風週報』『新流月報』など創刊、停刊を繰り返した。プロレタリア文学理論と創作の面で多くの成果をあげ、革命後のロシア文学や日本の蔵原惟人(これひと)の理論の紹介などを行い、30年3月の中国左翼作家連盟成立に中心的役割を果たし、そのなかに発展的解消を遂げた。

[佐治俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の太陽社の言及

【蔣光慈】より

…五・四運動の後,モスクワへ留学(1921‐24),帰国後,詩集《新夢》や論文を発表してロシアの十月革命を賛美し,文学の階級性を説いて青年層に衝撃をあたえた。1928年には銭杏邨(阿英)らと太陽社を結成して革命文学運動を展開。小説には《少年飄泊者》などがあるが,死後,はじめて単行本として出版された《田野の風》は,農村の階級闘争を描き井岡山をいち早く小説にとりこんでいる点でも注目される。…

※「太陽社」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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