外法(読み)げほう

精選版 日本国語大辞典 「外法」の意味・読み・例文・類語

げ‐ほう ‥ホフ【外法】

[1] 〘名〙
仏語。仏法以外の教法を、仏教の側からいう。外術。外道。⇔内法
今昔(1120頃か)四「外法は益(かひ)无とて、〈略〉出家し給て、内法を習ひ伝へて」 〔入楞伽経‐九〕
天狗外法様(げほうさま)と呼んで、それを祖とした僧衆による一種の妖術(ようじゅつ)
平家(13C前)一「彼(か)の外法行ひける聖(ひじり)を追出せむとしければ」
※雑俳・柳多留‐一三(1778)「げほうめと申ましたとざんをする」
※雑俳・柳多留拾遺(1801)巻二〇「よく売れるあしたげほうの上(のぼ)り坂」
[2] (福祿寿(ふくろくじゅ)の頭が外法頭であるところから) 七福神の一人、福祿寿の異称。
※俳諧・竹馬狂吟集(1499)五「老の末こそくだりざかなれ はなちれば外法の神もしらが山」
[語誌]((一)①②について) 古来からの山岳修験道などを、寺院仏教に対して外道の法と称し、特に、真言密教と結びついた呪法に関連して、天狗や稲荷の狐などを外法様と称した。

そと‐のり【外法】

〘名〙 物の外側をはかった長さ。容器などの、縦・横・高さ・直径などを、その厚さを加えてはかった寸法。〔書言字考節用集(1717)〕

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デジタル大辞泉 「外法」の意味・読み・例文・類語

そと‐のり【外法】

容器・管・構造物や2本の柱の間などの外側のさし渡し寸法。⇔内法うちのり
[類語]寸法長さ延長全長体長たけ着丈内法うちのり

げ‐ほう〔‐ホフ〕【外法】

仏語。仏法以外の教法。仏教以外の思想宗教外道げどう。⇔内法
人の髑髏どくろを用いて行う妖術。外術げじゅつ
外法頭」の略。

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改訂新版 世界大百科事典 「外法」の意味・わかりやすい解説

外法 (げほう)

仏法の正しい教えからはずれた法術。私利私欲を満たすために,他人を犠牲にすることをも恐れない法術のことで,邪術や幻術とほぼ同義である。外術(げじゆつ),外道(げどう)ともいう。天狗の行う法術(呪術)は外法であると考えられており,天狗のことを外法様,その術を行うことのできる僧を外法僧ということがある。外法僧の多くは,山伏や陰陽師たちであった。外法にもさまざまな種類があったが,《源平盛衰記》にみえる,平清盛が心を動かした荼吉尼(だきに)の法は,そのもっとも知られたものの一つである。外法は中世に盛んに行われ,僧たちのみでなく,広く庶民の間でも用いられたようであるが,近世になると,外法神の多くは邪神的属性が除かれて福神へと変化してしまったと考えられている。外法は,仏法への不信を述べ,しかるべきところで7日間人知れず精進潔斎すると習得できるといい,また,この法を行う呪具として長頭の人の頭蓋骨が用いられたと伝えられている。これを外法頭(あたま)という。たとえば,《増鏡》に,西園寺公相(きんすけ)の頭が外法頭とするため墓地から盗まれた話がみえている。源義経が鞍馬の奥の僧正ヶ谷で天狗から習得したという兵法も,外法の類であると考えてよいであろう。
外道
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家とインテリアの用語がわかる辞典 「外法」の解説

そとのり【外法】

柱と柱、鴨居(かもい)と敷居など、向かい合う建築部材の外側から外側までの距離。⇔内法(うちのり)

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世界大百科事典(旧版)内の外法の言及

【外道】より

…仏教においては,仏教以外の宗教や思想をすべて外道,外教(げきよう)あるいは外法(げほう)などと呼んでいる。サンスクリットの原語は(anya‐)tīrthakaであって,(その宗教より)以外の宗教およびその信者,すなわち異教,異教徒を意味している。…

※「外法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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