和(漢字)

普及版 字通 「和(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(異体字)
22画

[字音] ワ・カ(クヮ)
[字訓] やわらぐ・なごむ・かなう・こたえる・したがう

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
禾(か)+口。禾は軍門の象。口は(さい)、盟誓など、載書といわれる文書を収める器。軍門の前で盟約し、講和を行う意。和平原義とする字である。〔説文〕二上に「相ひ應(こた)ふるなり」(段注本)と相和する意とするが、その義の字は(わ)、龠(やく)(吹管)に従って、音の和することをいう。〔周礼、夏官、大司馬〕「旌を以て左右和(くわ)(禾)の門と爲す」の〔注〕に「軍門を和と曰ふ。今、之れを壘門(るいもん)と謂ふ。兩旌を立てて以て之れを爲す」とあって、のち旌を立てたが、もとは禾形の大きな標木を立てた。のち華表といわれるものの原形をなすもので、華表はのち聖所の門に用いられる。金文の図象に、左右に両禾相背く形のものがある。〔戦国策、魏三〕「乃ち西和門を開きて、~を魏にず」、〔斉一〕「和(かうくわ)して舍す」のようにいう。のち桓(かん)の字を用い、〔漢書、酷吏、尹賞伝〕「寺門の桓東に(うづ)む」の〔注〕に引く「如淳説」に、その制を説いて、「亭傳(駅)は四角の面百に、土を四方にき、上に屋り。屋上にの出づるり。高さ餘。大板(版)り、を貫きて四出す。名づけて桓表(くわんへう)と曰ふ。縣の治する、兩邊を夾(はさ)みて各一桓あり。陳・宋の俗言に、桓の聲は和(くわ)の如し。今ほ之れを和表(くわへう)と謂ふ」とみえ、両禾軍門の遺制を伝えるものであろう。調和の意は、字の義であるが、いま和字をその義に用いる。

[訓義]
1. やわらぐ、講和する、友好の関係となる、むつまじい、やすらか、たのしむ、なごむ。
2. かなう、こたえる、あう、したがう。
3. 声が合う、音がととのう、味がととのう、ひとしい、おなじ、あわせる。
4. すず、和鈴。
5. ひつぎ、棺頭のところ。
6. 字はまた禾・桓に作る。

[古辞書の訓]
名義抄〕和 ヤハラグ・アマナフ・アヘモノ・カタル・ネヤス・ニコシ・ヤハシヌ・ヤハラカナリ・ヤハラカニ・シタガフ・カクル・トトノフ・カゾフ・ワカス・マジフ

[語系]
和・huaiは同声。諧heiは声義近く、諧和とは言の調うことをいう。は吹管の象に従っており、よく楽調のあうことをいう。

[熟語]
和玉和尚・和璞・和表・和璧・和宝・和門・和・和靄・和安・和易・和域・和一・和韻・和雨・和懌・和説・和悦・和婉・和鉛・和応・和雅・和解・和諧・和会・和・和姦・和勧・和緩・和簡・和顔和気・和喜・和議・和宜和協・和・和均・和鈞・和吟・和煦・和恵・和敬・和景・和厚和好・和構・和羹・和光和合・和雑・和事・和慈・和弱・和輯・和集・和春・和順・和馴・和潤・和舒・和章・和勝・和上・和親・和心・和神・和粋・和声・和成・和斉・和清・和静・和霽・和旋・和善・和爽・和息・和・和退・和沢・和弾・和暖・和冲・和衷・和糶・和暢・和調・和直・和通・和悌・和鼎・和糴・和展・和擣・和同・和徳・和難・和寧・和売・和買・和比・和媚・和布・和附・和傅・和風・和物・和平・和睦・和墨和穆・和味・和鳴・和盟・和約・和薬・和愉・和裕・和融・和予・和容・和楽・和鸞・和鑾和良・和隣・和礼和朗
[下接語]
安和・委和・怡和・違和・応和・温和・穏和・諧和・攪和・閑和・寛和漢和・歓和・緩和・含和・気和・貴和・休和・共和・協和・恵和・喧和・謙和・元和・洽和・康和・和・講和・合和・混和・渾和・参和・慈和・修和・衆和・酬和・緝和・粛和・春和・純和・淳和・順和・舒和・倡和・浹和・唱和・燮和・親和・人和・仁和・綏和・随和・成和清和・晴和・静和・和・総和・属和・太和・致和・中和・冲和・調和・通和・貞和・恬和・答和・同和・徳和・敦和・内和・柔和・微和・不和・附和・平和・保和・飽和・民和・鳴和・融和・陽和・雍和・養和・楽和・鸞和・釐和・連和


22画

(異体字)和
8画

[字音] ワ・カ(クヮ)
[字訓] ととのう・あう・やわらぐ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 形声
声符は禾(か)。龠(やく)は笛。楽音のととのうことをいう。〔説文〕二下に「(ととの)ふなり」とし、「讀みて和(くわ)と同じうす」という。〔一切経音義、六〕に引いて「樂和するなり」に作り、楽音の調和することをいう字である。和は軍門で和議を講ずることである。両者は字源を異にするが、通用することが多い。が禾声に従うのは、農耕に関する儀礼に、籥(やく)(笛)を用いることがあるからであろう。金文に(やく)の字があり、これも籥と力(耒(すき)の象形)とに従う。〔大克鼎(だいこくてい)〕に「克を王の(こと)に(かな)はしむ」、〔士父鐘(しほしよう)〕「永命にはしむ」のように用いる。が禾・力に従うのは、農事が陰陽律呂にかなうことが重要視されたからで、のち戦国期の鄒衍(すうえん)は、陰陽五行を以て律呂を按じ、寒冷の北地にも農耕を可能にしたと伝えられる。

[訓義]
1. ととのう、音律がととのう、あう、かなう。
2. やわらぐ。
3. 和と通用する。

[古辞書の訓]
〔字鏡〕 マジハル

[語系]
・和huaiは同声。諧heiも声近く、皆(かい)声の字にも和協の意をもつものがある。皆とは相ともに誓うことをいう。*語彙は和字条参照。

[熟語]

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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