合意(読み)ごうい

精選版 日本国語大辞典 「合意」の意味・読み・例文・類語

ごう‐い ガフ‥【合意】

〘名〙 互い意思が一致すること。一致した意見
※俳諧・句兄弟(1694)上「是は各句合意の躰也。兄の句に寒しといふ字のふくみて聞え侍れば、こなたの句、弟なるべし」
※条約改正論(1887)〈小野梓〉六「実に諸国共同の合意を得るの難きに在り」 〔漢書‐匡衡伝〕

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デジタル大辞泉 「合意」の意味・読み・例文・類語

ごう‐い〔ガフ‐〕【合意】

[名](スル)互いの意思が一致すること。法律上は、当事者意思表示合致すること。「合意に達する」「離婚合意する」
[類語]コンセンサス意気投合以心伝心呼応息が合う反りが合う反り馬が合う気が合う肌が合う琴瑟きんしつ相和す打てば響くつうかあ応える共鳴同感共感拈華微笑ねんげみしょう心を合わせる心を一にする心を通わす心が通う気が置けない胸襟を開く腹を割る心を開く心を許す気を許す肝胆相照らす心を交わす心を以て心に伝う

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改訂新版 世界大百科事典 「合意」の意味・わかりやすい解説

合意 (ごうい)
consent

複数の自由意思の合致の意であり,絶対主義による同調conformityの強要への対抗概念である。統治が合意に基づくべきであるという近代民主主義の基本原理は,中世西欧以来の統治原理にその起源をもつ。王が同輩中の第一人者とされる時期には支配的な意思への合致である同調は自明の前提であるが,王権伸張と諸身分の形成が行われるにつれて,〈合意による支配(統治)government by consent〉の観念が明確に主張されるようになる。この場合,合意は,おもに王の課税権と諸身分の承認権との交渉を通じて,身分制議会において形成されるとみなされた。この合意の観念は,社会契約説の登場で大きく転換する。ホッブズは個人の自然権の全面的肯定から出発し,戦争状態克服のための構成員全員一致による政治社会設立を構想する。ここに合意の観念は政治社会そのものの構成原理の問題となった。ホッブズにおいては設立された政治社会の意思は君主の意思に体現されるため,君主の絶対性が結論されるが,自然状態における自然法の支配を前提とするロックは,政治社会の目的を自然権の保障とし,近代自由民主主義を基礎づけた。またルソーは政治社会の意思を一般意思と規定し,その現実化たる法の支配によって,自由と平等の理念貫徹をはかった。このように,近代民主主義理論は治者と被治者の原理的同一性から出発しており,その区別を前提とする統治の観念との間に不断の緊張を生じる。しかも,構成員全員の意思の確認が経験的に不可能である以上,全体の合意はつねに擬制たらざるをえない。この矛盾は,一般的同意と個別的同意との区別,後者に対する多数決原理の導入,その保障としての参政権の制度化等によって調整されることになるが,このこと自体,あらたなる擬制たらざるをえない。直接民主制の導入は,このようなアポリア(難題)に対する保障として繰り返し要求されるが,大衆社会の進展と社会の複雑化に伴って,権力と民衆との距離感が増大するにつれて,むしろ権力の偽装と神秘化の手段たる危険が指摘されえよう。
コンセンサス
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普及版 字通 「合意」の読み・字形・画数・意味

【合意】ごう(がふ)い

心を合わせる。〔国語、魯語下〕詩はを合する以なり。歌は詩を詠ずる以なり。今詩以て室を合し(結婚する)、歌以て之れを詠ず。法に度(あ)へり。

字通「合」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の合意の言及

【コンセンサス】より

…政治に対する認知や態度の基本的な点に関して,人々の間に高度の合意が存在することをいう。価値と利害の多元性を前提とする社会では,人々の間に多様な対立が存在するのが常態である。…

※「合意」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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