台南(読み)たいなん

精選版 日本国語大辞典 「台南」の意味・読み・例文・類語

たいなん【台南】

台湾南西岸の商工業都市サトウキビバナナ集散地で、製糖業発達。明代に漢民族が移住してから清末まで、台湾の中心都市で、旧跡が多い。

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デジタル大辞泉 「台南」の意味・読み・例文・類語

たいなん【台南】

台湾南西部の商工業都市。2010年に台南県を合併して直轄市となる。製糖業が盛ん。台湾最古の都市で、史跡が多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「台南」の意味・わかりやすい解説

台南
たいなん / タイナン

台湾南西部の都市。高雄(たかお)の北50キロメートルに位置する。人口73万4650(2000)。旧称赤嵌(せきかん)、俗に府城(ふじょう)ともよぶ。台湾最古の都市、歴史の町でもある。16世紀ごろから大陸の漢族が移住し、17世紀初頭、オランダ人がここにプロビンシャ城(赤嵌楼(ろう))を建てて、安平(あんぺい)のゼーランディア城と対置して台湾支配の根拠地とした。1661年、明(みん)の遺臣鄭成功(ていせいこう)がオランダ人を駆逐し、ここを滅清復明(めっしんふくみん)の基地とした。1684年、清が鄭軍を降(くだ)して台湾を版図に収め、ここに台湾県を置き、以来200余年の間、台湾の政治中心地となった。

 1885年省都が台北に移されたのち、1887年安平県と改称し、1945年その市街区に台南市が設けられた。市中には赤嵌、安平の古堡(こほ)や鄭成功廟(びょう)、孔子(こうし)廟など旧跡が多い。伝統的な米、サトウキビ、サツマイモ、豆類などの産地である。製糖業が早くから発達し、海岸を利用した魚の養殖も盛んである。近年は周辺に工場が林立し、紡績製紙、食品加工業などの発展が著しい。

[劉 進 慶]

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百科事典マイペディア 「台南」の意味・わかりやすい解説

台南【たいなん】

台湾南西部の県名,市名。台南市の外港は安平嘉南平原に位置し平坦な地形であることから,漢族の移住開拓が早くから行われ,16世紀明代にさかのぼる。1623年オランダ人が渡来し,1627年安平にゼーランティア城を築き,つづいて市内のプロビンシア城を中心に貿易・経営を行った。1661年鄭成功後者占領,承天府と称し,鄭氏政権の首府とした。清朝領有後も台湾府が置かれ,政治・商業の中心となった。近代は製糖工業を中心に発展をとげた。安平とともに旧跡が多く観光地としても有名。188万3208人(2013)。
→関連項目鄭氏政権

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改訂新版 世界大百科事典 「台南」の意味・わかりやすい解説

台南 (たいなん)
Tái nán

台湾の南西部にある市。人口72万5445(1999)。付近は漢族による移住開拓が最も早くから行われ,少なくとも16世紀,明代にさかのぼることができる。1624年(天啓4)にはオランダ人が城(プロビンシア)を築いて根拠地としたが,61年(順治18)明の遺臣鄭成功によって占領され,83年(康煕22)には清領となり,台湾府が置かれて政治の中心地となった。現在は台南平野の商業の中心地。また西方の海岸にある安平とともに歴史的旧跡の多い観光地でもある。
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