厚岸湖(読み)あっけしこ

精選版 日本国語大辞典 「厚岸湖」の意味・読み・例文・類語

あっけし‐こ【厚岸湖】

北海道釧路(くしろ)支庁東部の湖。厚岸湾に連なる塩水湖牡蠣(かき)の殻が堆積した礁(牡蠣島)が散在する。面積三二・三平方キロメートル。

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デジタル大辞泉 「厚岸湖」の意味・読み・例文・類語

あっけし‐こ【厚岸湖】

北海道南東部にある海跡湖かいせきこ砂嘴さしの発達によって厚岸湾の一部が湖となった。周囲25キロメートル、面積32.3平方キロメートル。最大深度11メートル。カキ漁業が行われる。湖畔にはアッケシソウの群落がある。平成5年(1993)別寒辺牛べかんべうし湿原とともにラムサール条約に登録された。

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日本歴史地名大系 「厚岸湖」の解説

厚岸湖
あつけしこ

厚岸町東部にある楕円形汽水湖。周囲約二六キロ、面積三一・八平方キロ、最大水深は一一メートルであるが、大部分は一メートル内外である。厚岸湖は約一万年前から九千年前に別寒辺牛べかんべうし川が運ぶ川水によってできた淡水湖原形で、さらに海面の上昇によって海水が浸入して入江となった後、約三千年前に再び海面が低下して海水が後退し、淡水と入交じる汽水湖となり現在に至っている。北方から別寒辺牛川、東方からトキタイ川、南東方から東梅とうばい川などが流入し、西端の幅六〇〇メートルの水路で厚岸湾に通ずる。湖内には牡蠣が堆積してできた六〇余の牡蠣礁があり、牡蠣かき島と通称されている。前近代にはアッケシ沼とよばれ、木村「蝦夷日記」には「アツケシ沼ニ冬ハ鰈鯡越年シ春ハ子ヲ産ト出ルト云、冬ハ沼ノ氷ヲ渡リヲツケシ江山越近シ」(寛政一一年九月一三日条)玉虫「入北記」には、ヘカンベウシ(別寒辺牛)から「是ヨリ舟行ニテ二十丁余モ川通リ下リアツケシ沼ヘ出デタリ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「厚岸湖」の意味・わかりやすい解説

厚岸湖
あっけしこ

北海道東部、釧路(くしろ)総合振興局管内の東部の厚岸町にある楕円(だえん)形の汽水湖。周囲約26キロメートル、面積32.3平方キロメートル、最深部は6メートルに達するが、大部分は1メートル未満。西方に幅約600メートルの水路が開いて厚岸湾に通じる。湖内では宮城県から種苗を移入してカキの養殖と、ノリ・アサリ養殖などの栽培漁業が盛ん。数十か所に分布する牡蠣島(かきじま)は、かつて生息した天然カキの貝殻、水生植物、砂泥などからなり、これらに生育する塩性植物群落は1921年(大正10)に国の天然記念物に指定された。なかでも秋になると紅変して湖岸を彩るアッケシソウ(サンゴソウ)は、土砂堆積(たいせき)や波による生育地破壊が進み、絶滅危惧種に指定されている(植物群落は1994年天然記念物の指定解除)。

 厚岸湖は、北海道東部を南から北に流れる別寒辺牛(べかんべうし)川の河口にあり、その流域には広大な別寒辺牛湿原が広がっている。厚岸湖は冬も全面凍結せず、国内最大級のオオハクチョウの越冬地となっている。湖の周辺にはオオワシオジロワシも飛来する。また、別寒辺牛川の上流域はタンチョウの繁殖地である。別寒辺牛湿原は、大部分をヨシやスゲなどが占める低層湿地で、別寒辺牛川の中流域にはミズゴケが盛り上がり、その上には高山植物などが生息する100ヘクタールほどの高層湿原がある。この一帯は国内有数の原生的な自然が残されていることから、厚岸湖・別寒辺牛湿原として、1993年(平成5)にラムサール条約の登録湿地となった。1995年には厚岸水鳥観察館も開館した。厚岸湖・別寒辺牛湿原は、厚岸霧多布昆布森(きりたっぷこんぶもり)国定公園の一部にもなっている。

[古川史郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「厚岸湖」の意味・わかりやすい解説

厚岸湖
あっけしこ

北海道南東部,厚岸町にある潟湖(→)。厚岸湾とは幅約 600mの水路でつながる。面積 32.3km2,周囲 25km。沈降谷が湖となったもので,北岸に別寒辺牛川(べかんべうしがわ)と尾幌川が流入する。湖内には,天然カキの貝殻が堆積した大小 80あまりの牡蠣島(カキ礁)があり,潮の干満で見え隠れする。その島にシオマツバ,シバナアッケシソウなど塩生植物やハマニンニク,ハマオグルマなど海浜植物の群落がある。カキ,アサリなどの漁業が行なわれる。1955年厚岸道立自然公園に指定。1993年,別寒辺牛川流域に広がる別寒辺牛湿原とともにラムサール条約に登録された。

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百科事典マイペディア 「厚岸湖」の意味・わかりやすい解説

厚岸湖【あっけしこ】

北海道厚岸町東部にある面積32.31km2汽水湖で,幅500mの水路により西側が厚岸湾に繋がる。湖にはカキ殻の堆積により形成されたカキ島が多く見られ,潮の干満によって見え隠れする。また,流入する別寒辺牛(べかんべうし)川沿いや湖周辺には湿原が広がり,ほとんど人の手が加わらない原生景観を呈する。冬場も全面結氷しないため,オオハクチョウが越冬する場として著名である。川に沿う別寒辺牛湿原とともに1993年6月,ラムサール条約登録湿地となる。根室本線の厚岸駅から湖畔まで約500m。
→関連項目厚岸[町]ラムサール条約

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事典・日本の観光資源 「厚岸湖」の解説

厚岸湖

(北海道厚岸郡厚岸町)
日本の重要湿地500」指定の観光名所。

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世界大百科事典(旧版)内の厚岸湖の言及

【厚岸湾】より

…釧路港の東方およそ35kmの位置にある。湾口は南を向き,幅約10km,湾奥までの奥行も10km程度の深い湾入をもち,湾奥の砂嘴(さし)によって厚岸湖と区分されている。湾奥の厚岸町中心部は漁港で沿岸漁業・沖合漁業の基地となり,湾内はニシンの好漁場になっている。…

※「厚岸湖」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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