匹夫の勇(読み)ひっぷのゆう

精選版 日本国語大辞典 「匹夫の勇」の意味・読み・例文・類語

ひっぷ【匹夫】 の 勇(ゆう)

ただ血気にはやるばかりの小勇小人勇気
太平記(14C後)二九天下の為にして、匹夫の勇に非ざれば」 〔孟子‐梁恵王下〕

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デジタル大辞泉 「匹夫の勇」の意味・読み・例文・類語

ひっぷ‐の‐ゆう【匹夫の勇】

《「孟子」梁恵王下から》思慮分別なく、血気にはやるだけのつまらない勇気。

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故事成語を知る辞典 「匹夫の勇」の解説

匹夫の勇

ただ血気にはやるばかりの勇気。

[使用例] 鉄橋にぶらさがるなんてことは、べつに勇ましいことでも、大胆なことでもないんだよ。そんなのは匹夫の勇というものだ[山本有三*新編路傍の石|1938~40]

[由来] 「孟子りょうのけいおう・下」に出て来ることばから。紀元前四世紀、戦国時代の中国でのこと。せいという国の王が、自分は勇気ある行動が好きだと言ったところ、孟子はそれに答えて、「剣を手にして、あいつは俺にはかなうまい、などと言っているのは、『此れ匹夫の勇にして、一人に敵する者なり(それは身分の低い者の勇ましさで、一人を相手に戦うだけです)』」と述べ、もっとスケールの大きな、王者にふさわしい勇気を持つように励ました、ということです。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「匹夫の勇」の意味・わかりやすい解説

匹夫の勇
ひっぷのゆう

小人のただ血気にはやるだけの勇気。小勇。匹夫は身分が低く、道理のわからない者の意。『孟子(もうし)』「梁恵王下篇(へん)」に、「王請(こ)う、小勇を好むなかれ、それ剣を撫(ぶ)し、疾視して曰(いわく)、彼悪(いずく)んぞ敢(あ)えて我に当たらんやと、これ匹夫の勇、一人に敵する者なり、王請う、これを大にせよ」とある。

[田所義行]

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