(読み)はつ

精選版 日本国語大辞典 「初」の意味・読み・例文・類語

はつ【初】

[1] 〘名〙
① はじめてであること。最初。「はつに」「はつで」の形で連用修飾語として用いられ、現代では、「おはつに」のような慣用語として用いることが多い。〔名語記(1275)〕
日葡辞書(1603‐04)「ミヤコエ マイッタ コトワ イマ fatçude(ハツデ) ゴザル」
② 「はつもの(初物)」の略。
※大鏡(12C前)二「官物のはつをさきにたてまつらせ給めり」
③ はじめて、その遊女屋へあがること。また、その客。転じて、男女の初情交をいう。初会(しょかい)
※歌舞伎・関東小六今様姿(1698)一「こな様とかうして居るが初でござんす」
[2] 〘語素名詞または、動詞連用形の上に付いて、はじめての、あるいは、あたらしいの意を表わす。特に、その年はじめての意で用いることが多い。「初風」「初雁」「初春」「初草」「初声」「初雪」「初節句」など。

うい うひ【初】

[1] 〘名〙
① 最初。初め
古今(905‐914)物名・四三六「我はけさうひにぞ見つる花の色をあだなるものといふべかりけり〈紀貫之〉」
② 「ういざん(初産)」の略。
咄本・当世手打笑(1681)五「或女房懐妊しけるが、うゐの事なれば」
[2] 〘語素〙 名詞の上に付いて、「初めての、最初の」の意を添える。「うい冠(こうぶり)」「うい産」「うい陣」「うい孫」など。
[語誌]「うい」は「生まれて初めて」の意で、類義の「はつ」は、ある一定の周期ごとの初回、たとえば、一日、一年などにおける最初の意であることが多い。

そ・める【初】

〘マ下一〙 そ・む 〘マ下二〙 (「そめる(染)」と同語源か。補助動詞として用いる) その行為がはじまる意、また、はじめられた行為や動作結果が長くあとに残る意を表わす。
万葉(8C後)四・六一二「なかなかに黙(もだ)あらましを何すとか相見始(そめ)けむ遂げざらまくに」
源氏(1001‐14頃)帚木「忍ぶれど涙こぼれそめぬれば、折々ごとに、え念じえず」
[補注]「思いそめる」「見そめる」「乱れそめる」などの「そめる」には、「染める」の意識の強い場合がある。→そめる(染)

ぞめ【初】

〘語素〙 (動詞「そめる(初)」の連用形の名詞化から) 動詞の連用形に付けて、その動作をはじめてすることをいう。「使いぞめ」「渡りぞめ」「書きぞめ」「弾(ひ)きぞめ」「食いぞめ」「笑いぞめ」など。

うい‐うひ‥【初】

〘形シク〙 幼い。また、そのような状態である。未成熟だ。
※神代口訣(1366)「稚 宇比志也」

そ・む【初】

〘マ下二〙 ⇒そめる(初)

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デジタル大辞泉 「初」の意味・読み・例文・類語

しょ【初】[漢字項目]

[音]ショ(漢) [訓]はじめ はじめて はつ うい そめる うぶ
学習漢字]4年
〈ショ〉
物事のはじめ。はじめの時期・段階。「初夏初期初級初心初代初頭初歩最初太初当初年初
その時はじめて。経験上はじめての。「初学初見初婚初任初対面
〈はつ〉「初恋初耳初雪
〈うい〉「初陣
[名のり]もと

うぶ【初/初心/産/生】

[名・形動]
初・初心)世間ずれがしていないこと。ういういしいこと。また、そのさま。「そのまま信じるほど―ではない」
(初・初心)まだ男女の情を解しないさま。「―な娘」
(産・生)
㋐生まれたときのままであるさま。
「人間らしい崇高な生地を―の儘っているか解らないぜ」〈漱石明暗
㋑自然のままであること。また、つくられたままであること。
「品が―で、胡粉ごふん一つ剝げてないなんてものは」〈魯庵社会百面相
㋒(名詞の上に付けて)生まれたときの。生まれたときのままの。「―声」「―毛」
[類語]初初しいおぼこ無邪気あどけないいたいけ無心天真爛漫天衣無縫イノセント罪が無い

うい〔うひ〕【初】

[名]最初。初め。
「我はけさ―にぞ見つる花の色をあだなるものといふべかりけり」〈古今・物名〉
[接頭]名詞に付いて、初めての、最初の、の意を表す。「産」「陣」「まご
[類語]はつお初初めて初回初手

はつ【初】

初めてであること。初め。最初。「日本人宇宙飛行士」「の試み」
名詞の上に付けて接頭語的に用い、初めての、新しい、などの意を表す。「公判」「霜」「春」
[類語]ういお初初めて初回初手

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「初」の解説

はつ

1761-1783 江戸時代中期の女性
宝暦11年生まれ。讃岐(さぬき)菅沢(高松市)の農民与七郎の養女。養父の甥(おい)八兵衛を婿にむかえ,2子を生む。夫が養母に虐待され家をでたあと,再婚をすすめられたため,子を八兵衛の母に託し操をたてて天明3年3月25日自殺した。23歳。

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