分子設計(読み)ブンシセッケイ

化学辞典 第2版 「分子設計」の解説

分子設計
ブンシセッケイ
molecular design

ある期待される性質機能などをもつ新規の分子あるいは物質を考案すること.医薬農薬分野で広く行われ,一定の成功をおさめてきた.期待される性質,機能をもつ先導化合物を選定し,構造変換による期待する性質,機能の変化と電子効果,立体効果,疎水性効果などを定量的に解析する定量的構造活性相関(QSAR)が1960年代半ばから行われた.1980年代に入り,期待する性能に関係ある対象物である酵素受容体タンパク質などの構造を,X線結晶解析やNMR分光法などで解析し,分子グラフィックス,分子力学,分子動力学,分子軌道法計算などを用いて構造活性相関の評価が行われた.1990年代に入り先導化合物を考案する手法も開発され,医薬や農薬の研究開発手段として広く利用されるようになった.最近は無機物質や高分子分野でも応用されている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「分子設計」の意味・わかりやすい解説

分子設計
ぶんしせっけい
molecular design

ある機能をもつ分子を,その構造から合成まで設計すること。現在までに数多くの分子の構造と機能の関係がデータとして得られているが,そのデータをもとに,目的とする機能をもつ分子をデザインすることが可能となった。その合成経路についても,いままで知られている化学反応を組合せることによって予測することができる。各種分子の物理的,化学的,薬理的性質についてのデータベースをもとに,コンピュータを活用することで,超伝導物質,医薬品,新素子材料などの分子設計が可能である。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android