全日本同和会(読み)ぜんにほんどうわかい

改訂新版 世界大百科事典 「全日本同和会」の意味・わかりやすい解説

全日本同和会 (ぜんにほんどうわかい)

同和問題(部落問題)の完全解決を目的とする運動団体。1958年から,部落解放同盟を中心とする部落解放国策樹立要求運動が発展し,国民の関心も高まるなかで,60年5月10日,自由民主党の影響下に,融和運動家や部落解放同盟から分かれた者が集まって,全日本同和会(会長柳井政雄)を結成した。結成大会の宣言は〈左右の階級的独裁を排し,国民を分裂抗争に導くような“階級闘争”はとらない〉と,革新的な部落解放運動に反対し,自民党政府の〈総合的同和政策を積極的に支持し……その完遂を期して強力に推進する〉と,保守的・改良主義的な立場を明らかにした。全日本同和会の運動は〈対話協調〉を基本に,政府に働きかけ,地方公共団体を説得しつつ,同和対策事業の強力な遂行と同和教育の徹底による同和問題の解決をめざして,革新的な部落解放運動の影響力の弱い被差別部落に一定の影響力をもっている。
部落解放運動
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の全日本同和会の言及

【部落解放運動】より

…そこで解放同盟は,地域改善対策特別措置法の期限切れ(1987)後を展望して,部落解放基本法の制定要求運動に取り組みはじめている。
[解放同盟,同和会,全解連]
 解放同盟が部落解放国策樹立要求運動を展開中の1960年,自由民主党の影響の下に融和運動家や解放同盟の離脱者が集まって全日本同和会(同和会)を結成した。同和会は革新的な部落解放運動に反対する立場から,〈対話と協調〉を基本に同和問題(部落問題)の解消をめざした。…

※「全日本同和会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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