入違(読み)いれちがう

精選版 日本国語大辞典 「入違」の意味・読み・例文・類語

いれ‐ちが・う ‥ちがふ【入違】

[1] 〘他ワ五(ハ四)〙 間違って別の所へ入れる。
和英語林集成初版)(1867)「Irechigai, ō, ōta イレチガフ 入違」
[2] 〘自ワ五(ハ四)〙
一方が出たすぐ後で、他方がはいる。また、一方がはいったすぐ後で他方が出る。いりちがう。
※当世少年気質(1892)〈巖谷小波〉八「入れ違(チガ)って這入て来たは此近所を廻る肴屋の金太」
② 前と後ろ、右と左などのように、物の配列や動きが食い違う。互い違いにはいり込む。交錯する。いりちがう。
[3] 〘他ハ下二〙 ⇒いれちがえる(入違)

いり‐ちがい ‥ちがひ【入違】

〘名〙
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「小間使の出て行くと入違(イリチガ)ひに、〈略〉園枝は美しい姿を現したのである」
金貨(1909)〈森鴎外〉「八が開けたのは金いれに相違ない。〈略〉口は入違(イリチガヒ)になって銀の小さい玉を捩って開けるやうになってゐる」
紋所で、二つのものが互いに交差していること。

いれ‐ちがい ‥ちがひ【入違】

〘名〙
① 間違って入れること。
② 一方が出たすぐ後に、他方がはいること。また、一方がはいったすぐ後に、他方が出ること。いりちがい。いりちがえ。いれちがえ。
※門三味線(1895)〈斎藤緑雨一一「糊買の嬶衆(かかしゅ)と入れちがひに敷居跨げば」
③ 前と後ろ、右と左などのように、物の配列や動きが食い違うこと。たがいちがい。いりちがい。いりちがえ。
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉秋「紅緒の上草履を穿いたズボン両脚を入違(イレチガヒ)に組みながら」

いり‐ちが・える ‥ちがへる【入違】

〘他ア下一(ハ下一)〙 いりちが・ふ 〘他ハ下二〙
桐一葉(1894‐95)〈坪内逍遙〉五「入りちがへてかなたより、笑ひさざめきどやどやと」
阿部一族(1913)〈森鴎外〉「裏表二手のもの共が入(イ)り違(チガ)へて、をめき叫んで衝いて来る」

いれ‐ちが・える ‥ちがへる【入違】

〘他ア下一(ハ下一)〙 いれちが・ふ 〘他ハ下二〙 (室町時代頃からヤ行にも活用した)
① 間違って入れる。入れそこなう。
② 一方が出たすぐ後に、他方がはいるようにする。また、一方がはいったすぐ後で、他方が出るようにする。いりちがえる。
③ 前と後ろ、右と左などのように、物の配列や動きを食い違うようにする。互い違いになるようにする。交錯させる。いりちがえる。
義経記(室町中か)五「忠信もいれちがへてぞ斬合ひける」

いり‐ちが・う ‥ちがふ【入違】

[1] 〘自ハ四〙
東関紀行(1242頃)今の浦より前島「一すぢならず流れわかれたる川瀬ども、とかく入りちがひたる様にて」
[2] 〘他ハ下二〙 ⇒いりちがえる(入違)

いれ‐ちがえ ‥ちがへ【入違】

※門(1910)〈夏目漱石〉七「入(イ)れ違(チガヘ)に、〈略〉女の子と、其妹らしい揃のリボンを懸けた子が一所に馳けて来て」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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