佐久(市)(読み)さく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「佐久(市)」の意味・わかりやすい解説

佐久(市)
さく

長野県中東部、佐久盆地の中心都市。1961年(昭和36)浅間(旧、岩村田(いわむらだ)町)、中込(なかごみ)、野沢の3町と東(ひがし)村が合併して市制施行。2005年(平成17)北佐久浅科村(あさしなむら)、望月町(もちづきまち)、南佐久郡臼田町(うすだまち)を合併。市域の中央を千曲川(ちくまがわ)が北流し、北に浅間山、南に八ヶ岳(やつがたけ)連峰を望む標高約700メートルの高原にある。商店街は3か所に分かれ、長く市の中心部がなかったが、近年、中込、岩村田地区のほぼ中央に市役所を中核としたニュータウンが形成された。JR小海(こうみ)線と国道141号が市域をほぼ南北に走り、北部にはJR北陸新幹線(通称長野新幹線)が走るほか、国道142号(旧、中山道(なかせんどう))や国道254号が通じる。また、中部横断自動車道が通り、上信越自動車道は佐久インターチェンジでアクセスしている。

 岩村田地区は近世の内藤氏岩村田藩城下であり、中山道の宿でもあった。野沢地区は「佐久の水田養鯉(ようり)」として知られたが、現在は溜池(ためいけ)での共同飼育が行われる。幕末に岩村田藩主が野沢町の豪商に大坂淀(よど)川の鯉(こい)を与えたのが養殖の始まりといわれる。5月初めには鯉祭りが行われる。また薬用ニンジンの特産もある。群馬県境との高原一帯は妙義荒船(みょうぎあらふね)佐久高原国定公園域で、観光牧場や別荘地に開発されている。千曲川の支流滑津(なめづ)川には景勝地内山峡があり、付近に初谷(しょや)温泉がある。このほか、県立駒場(こまば)公園、独立行政法人家畜改良センター長野牧場、岩村田のヒカリゴケ産地(国の天然記念物)、佐久市立近代美術館、1875年(明治8)建築の旧中込学校校舎(国の重要文化財)などがある。面積423.51平方キロメートル、人口9万8199(2020)。

[小林寛義]


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