人心(読み)じんしん

精選版 日本国語大辞典 「人心」の意味・読み・例文・類語

じん‐しん【人心】

〘名〙
人間がふつうに持っている、人間としての心。また、世の中の人々の考えや気持
性霊集‐一(835頃)遊山慕仙詩「人心非我意、何得人腸
浮世草子・西鶴諸国はなし(1685)五「むかしより世界の人心、是をにくむ事替らず」 〔易経‐咸卦〕
② 人の、本善の性ではない、私欲におおわれた心。
浄瑠璃・頼光跡目論(1661‐73頃)一「さなきだに悪にはうつろひやすき人心、よき手本にせずして悪しきを定木にせよとは心得難き事共也」

ひと‐ごころ【人心】

〘名〙
① 人の心。人間の精神。人間の気持。
※後撰(951‐953頃)雑四・一二六三「人心たとへて見れば白露の消ゆるまも猶久しかりけり〈よみ人しらず〉」
② 特に、感情欲望のある人の心。
※謡曲・班女(1435頃)「形見の扇より、なほ裏表あるものは、人心なりけるぞや」
※金刀比羅本平治(1220頃か)下「漸(やうやうに)もてなしまゐらせければ、人心になり給ふ」

にん‐じん【人心】

〘名〙 人間がふつうに持っている、人間としての心。また、世の中の人々の考えや気持。人の心。じんしん。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※浄瑠璃・四天王最後(1661)一「にんじんを知り給はぬしうのために、あったら命を捨ん事」

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デジタル大辞泉 「人心」の意味・読み・例文・類語

ひと‐ごころ【人心】

人間の気持ち。また、人としての情愛の心。
「思えば無情つれなの―かな」〈樗牛滝口入道
人心地2」に同じ。
「聖は―もなくて、二日三日ばかりありて死にけり」〈宇治拾遺・一三〉

じん‐しん【人心】

人間の心。また、世の人々の考えや気持ち。「人心を掌握する」「人心を惑わす」
[類語]民心

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

普及版 字通 「人心」の読み・字形・画数・意味

【人心】じんしん

人の心情。〔書、大禹〕天の數、汝の躬(み)に在り。汝(つひ)に元后に陟(のぼ)れ。人心惟(こ)れく、心惟れなり。惟れ惟れ一、允(まこと)に厥(そ)の中を執れ。

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