交織(読み)こうしょく

精選版 日本国語大辞典 「交織」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょく カウ‥【交織】

〘名〙 木綿と絹、絹と毛などの異なった繊維の糸をまぜて織ること。また、その織物。まぜおり。
※登山技術(1939)〈高須茂〉登山用具「布地は、麻地、麻綿交織地、キャンバス地等があるが」

まぜ‐おり【交織】

〘名〙 種類の違う繊維をまぜて織ること。また、その織物。まぜおりもの。こうしょく。
米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉三「女は、黒と茶との錯せ織りなり」

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デジタル大辞泉 「交織」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょく〔カウ‐〕【交織】

綿糸絹糸、絹糸と毛糸などをまぜて織ること。混織。まぜおり。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「交織」の意味・わかりやすい解説

交織
こうしょく

異なる繊維からつくった一種、あるいはそれ以上の糸を、経糸(たていと)あるいは緯糸(よこいと)として用いて製織すること、またはその交織した織物の略称。交織は、主なる構成糸に対して、品質などが同じでかわるべき代用繊維が現れたとき、経済的理由から、経あるいは緯糸のいずれかを用いる場合と、もう一つは、それぞれの繊維がもつ欠点を交織によりカバーするか、あるいは繊維の性能を交織することにより、さらに伸ばす場合とがある。交織の方法は、糸の重量比、または本数割合による交織率の違いにより織物の品質が変化するし、また経緯糸の中に部分的に異種の糸を縞(しま)のように配合して織ったものは、一つの効果をもたらすことになる。古くは、綿と絹、綿と毛、絹と麻、麻と毛、絹と毛など、天然繊維相互間の交織が盛んであったが、化合繊出現により、天然繊維と化合繊の交織が行われ、また化合繊相互間の交織もみられる。

 日本では、綿織物一部に、「糸入(いといり)」として縞のように絹糸を織り込む糸入双子(ふたこ)、糸入綿結城(めんゆうき)などがあり、絹綿交織が主であったが、人絹・スフの発達とともに代用繊維として絹の分野へ進出をみ、さらに合繊の発明により促進された。そのおもな交織織物には次のようなものがあげられる。絹では、羽二重(はぶたえ)の緯糸に無撚(むよ)りの人絹やナイロンを打ち込んだ人絹緯羽二重、ナイロン交織羽二重があり、交織朱子(しゅす)には、緯糸に綿・スフ・人絹糸を織り込んだものがある。また人絹は絹織物の代用として使われ、人絹タフタ、人絹デシン、人絹お召などの交織織物がある。また毛織物では、交織するときには経に綿糸、緯に毛糸を用いるのが普通で、たとえば裏地用のアルパカは、経に綿糸、緯にアルパカ糸または梳毛糸(そもうし)を使っている。また、経に絹糸、緯に梳毛糸を使い、感触・外観ともに絹の感じを加えた毛織物にシルクウールがあり、着尺地によく使われている。

[角山幸洋]

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改訂新版 世界大百科事典 「交織」の意味・わかりやすい解説

交織 (こうしょく)

経糸,緯糸の一部または全部に,異種の繊維で作った糸2種以上をまぜて織った織物をいう。絹毛交織物,絹綿交織物,綿毛交織物,綿麻交織物などのほかに,近年は化合繊糸との交織が多くなっている。複数の異繊維を用いて作った糸,すなわち混紡糸を用いて織った織物を,混紡織物といい区別するが,混紡糸と他の繊維の糸との交織もある。
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百科事典マイペディア 「交織」の意味・わかりやすい解説

交織【こうしょく】

異質の織糸を2種以上用いて製織すること。織物の性質の改良や価格低下を目的に,絹と毛,絹と合繊,綿と合繊などが多く行われる。1種ずつの糸を経(たて)・緯(よこ)に用いる場合と,1種の糸と2種以上混紡した糸を交織する場合がある。家庭用品品質表示法による使用繊維の割合の表示が必要。
→関連項目ポプリン

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普及版 字通 「交織」の読み・字形・画数・意味

【交織】こうしよく

まぜ織り。

字通「交」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の交織の言及

【交織】より

…経糸,緯糸の一部または全部に,異種の繊維で作った糸2種以上をまぜて織った織物をいう。絹毛交織物,絹綿交織物,綿毛交織物,綿麻交織物などのほかに,近年は化合繊糸との交織が多くなっている。複数の異繊維を用いて作った糸,すなわち混紡糸を用いて織った織物を,混紡織物といい区別するが,混紡糸と他の繊維の糸との交織もある。…

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