五泉(市)(読み)ごせん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「五泉(市)」の意味・わかりやすい解説

五泉(市)
ごせん

新潟県の中央を流れる阿賀野(あがの)川の谷口左岸にある都市。1954年(昭和29)五泉町と巣本(すもと)、川東(かわひがし)、橋田の3村が合併して市制施行。2006年(平成18)中蒲原(なかかんばら)郡村松町(むらまつまち)を合併。阿賀野川沿いにJR磐越西線(ばんえつさいせん)が通じる。また磐越自動車道、国道290号が通る。市域は阿賀野川の支流早出(はやで)川の扇状地面の伏流地下水源に恵まれ、養鯉(ようり)業が盛んである。阿賀野川谷口の「白ダシ」とよばれるフェーン風のだしかぜ(出風)(陸地から海に向かって吹く風)が名物で、たびたび全市を焼失する大火にみまわれてきた。

 近世は「仙台平(ひら)」の技法を取り入れて改良された「五泉平」の袴(はかま)地が名産で、明治時代には輸出羽二重(はぶたえ)、平絽(ひらろ)、糸織(いとおり)などの絹織物を特産した機業地であった。第二次世界大戦後はニット製品業に転換し、全国にメリヤス、ニット製品を出荷する織物基地として知られている。古くからの五泉羽二重、絽などの絹織物生産も行われる。阿賀野川ライン入口にあたり、咲花(さきはな)温泉延命(えんめい)地蔵尊、小山田ヒガンザクラ樹林(おやまだひがんざくらじゅりん)(国の天然記念物)、お葉付イチョウなどの名所も多く、清酒などの名物がある。面積351.91平方キロメートル(一部境界未定)、人口4万7625(2020)。

[山崎久雄]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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