主人(読み)しゅじん

精選版 日本国語大辞典 「主人」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐じん【主人】

〘名〙
① 家のぬし。あるじ。
※文華秀麗集(818)上・春日対雨、探得情字〈王孝廉〉「主人開宴在辺庁、客酔如泥等上京
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉初「此間内証の千臆さん〈晩花楼主人の俳名をしかいふ〉へ」 〔春秋左伝‐成公一五年〕
他人従属または隷属させている者。他人を使用している者。領主首領雇い主など。だんな。しゅう。
※古今著聞集(1254)一六「主人の武士
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「奉公人も主人(シュジン)は撰む事たが」 〔易経‐明夷
③ 妻が他人に対して自分の夫をさしていう。
※道(1962)〈庄野潤三〉一「初めて主人が家出をしたことに気が附きました」
④ 一寺一山の棟梁、または寺主。
※明和本正法眼蔵随聞記(1235‐38)五「主人は寺院大小の事、都て管せず」
⑤ 客をもてなす立場にいる人。
茶湯一会集(1845頃)「主人は万事に心を配り、聊(いささか)も麁末なきやう、深切実意を尽し」

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デジタル大辞泉 「主人」の意味・読み・例文・類語

しゅ‐じん【主人】

家の長。一家のぬし。また、店のぬし。あるじ。「隣家主人」「老舗しにせ主人
自分の仕える人。雇い主など。「主人不興を買う」
妻が他人に対して夫をさしていう語。「主人は出張しております」
客を迎えてもてなす立場の人。「主人役をつとめる」
[類語](1店主あるじおやじマスター/(2あるじ/(3亭主旦那ハズバンドハズ夫君内の人宿六良人旦つく先夫前夫亡夫男鰥おとこやもめ寡夫

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普及版 字通 「主人」の読み・字形・画数・意味

【主人】しゆじん

家のあるじ。唐・賀知章〔袁氏の別業に題す〕詩 人相ひらず 偶坐するは林泉の爲なり 謾(みだ)りに酒を沽(か)ふを愁ふること(なか)れ 中(なうちゆう)、自(おのづか)ら錢

字通「主」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の主人の言及

【もてなし】より

…ホメロスの《イーリアス》の中に,敵対する2人の戦士が,互いの先祖がもてなしによって結ばれた関係にあることを知ると,ただちに戦いをやめるという有名なエピソードがあるが(詳しくは後述),それなどはホメロスの時代のギリシアにおいて,もてなしの紐帯(ちゆうたい)が〈相続〉されるものであったことを物語るものであろう。シンボルsymbolという今日では象徴一般を意味する語は,そのもとをたどれば古代ギリシア語のシュンボロンsymbolonであり,これはもてなしによって結ばれた紐帯の〈しるし〉として主人が客人に与えた指輪や硬貨の半片を指したといわれるが,そのような〈シンボル〉も家系をたどって子孫に伝えられたのである。 また,飲食,宿舎,衣類など,客に分け与えられるもののうち,とくに飲物と食物はもてなしにとって本質的な意義をもっている。…

※「主人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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